「あんた、映画を全然見てないわね」

 取材を始めて数分経ったころ、淀川長治さんに呆れられた。当時の私は20代後半、『サンデー毎日』記者だった。映画をほとんど見ていない私が映画評論家・淀川さんの取材に行くこと自体申し訳ないのだが、取材に行くと決まってから慌てて映画を見ても間に合わない。それに当時の私は「現実社会を扱う仕事をしているんだから、人間の頭で考えた作り物の映画を見てもなぁ」などと不遜なことを思っていた。

 50代の今、映画をもっと見ておくべきだったと悔やむ。せっかく淀川さんが呆れてくれたのだから、あの時に全く興味を持っていなかった映画に目を向ける好機だったのに、私は生かせなかった。

映画は文学と同じである。人間の頭で考えた作り物の世界ではあるけれど、自分がもしかしたら経験したかも知れない未知の世界を想像し、仮想体験できる希少な場だ。素晴らしい映画は感動や刺激を与えてくれるばかりか、時には生き方にまで影響を及ぼす。

映画は教養の1つと言っていいだろう。映画の話が全くできないと教養がないということと同じ意味になる。映画が仕事に直接役に立つことは一般的にあまりないだろう。しかし仕事相手が映画の話を持ち出した時に全く応じられないようではお里が知れる。

映画を見ようとすれば決まった時間に決まった場所に行かなければならない。咳をするのも気を使う。途中でトイレにも行けない。そんな映画館が私は苦手なのだが、本当に映画を見ようと思えばレンタルDVDを借りたりアマゾンプライムやHuluで見たりと方法はいくらでもある。

仕事に追われる毎日だが、月に映画1本見るくらいの時間をひねり出せないほど忙しいわけではない。

いい映画の選び方は新聞の映画評に頼れば迷わずに済む。たいてい週末の夕刊に載っている。まずは毎月1本映画を見ようと決めた。何と楽しいノルマであることか。                          

(文責:ジャーナリスト 西野浩史)

160703原生花園①

小清水原生花園からみたオホーツク海です。オホーツク海の向こうには天気がよければ雄大な知床連山が姿を見せてくれます。 冬に2回、夏に2回と合計4回知床に来ていますが残念ながら1度も知床連山の稜線を見たことはありません。

160703原生花園②

小清水原生花園から10km南下した位置に以久科原生花園があります。規模は小さく、観光客も数える程ですが、オホーツク海をバックに撮れる点が良いです。

160703原生花園③

夏の花の季節だけ営業する臨時駅です。 今回は運よく網走行きのディーゼル車もカメラに収めることができました。

160703原生花園④

北海道の海岸線を彩る代表格です。蕾は花びらよりも赤が強く存在感を表しています。

160703原生花園⑤

小清水原生花園の反対側は、濤沸湖が広がります。一部は湿地帯となっており、野鳥の楽園です。ときおりタンチョウも姿を見せるそうです。細かなオレンジ色はエゾスカシユリの群生です。