関東地区の観光地の代表格は、富士五胡、箱根、伊豆半島、日光、鬼怒川、水上が挙げられます。比較的狭い地域に観光資源が密集しており、交通機関も発達していることから、不便さを感じることは余りありません。

 さて、この秋に初めて南九州へ出向きました。南宮崎観光は、青島海岸の鬼の洗濯板を眺めて、日南海岸を南下して鵜戸神宮を見学し、小京都と言われる飫肥を散策して宮崎市内に戻るのが時間的にもギリギリ1日で回れる代表的なコースです。

さらに南に下ると、半野生の御崎馬で有名な都井岬があります(半野生とは一度は人間に飼われていた過去があることを指します)。御崎馬と亜熱帯植物であるソテツの群生は、国の天然記念物に指定されています。

特に柵で囲われていないので御崎馬に出会えないことも充分あるでしょう。最寄りの観光地から30分以上も離れていることから、観光バスが立ち寄ることは少ないようで、個人で回る旅行客が中心となります。岬にあった2つのホテルも廃業となり、国民宿舎と民宿2軒のみが宿泊施設です。

ちょっと寂しさを感じさせましたが、御崎馬と出会えた瞬間からこの地まで足を延ばしたことに価値があったと嬉しく思えました。

 因みに、放牧された馬が見られるのは、ここと青森県下北半島の尻屋崎だけだそうですので、希少性が高い観光資源であることに間違いありません。

 観光資源とはどのような要素を備えるべきでしょうか?

希少性、周回性、利便性、非日常性、といった要素だけでは不十分です。自然、歴史、食べ物、郷土文化、地元産業との連携も不可欠です。観光地に携わる事業者は、興味を惹く情報を見やすく頻繁に発信し続けることが求められます。情報は日々劣化しますので、適宜更新することが必須となります。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a0

都井岬から見下ろした志布志湾です。穏やかな秋の南の空です。日の入りまではまだ十分時間があります。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a1

都井岬には約100頭の野生化した御崎馬が生息しています。もともとは江戸時代に高鍋藩が軍用馬を放牧したのが始まりだそうです。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a2

左奥の植物はソテツ(蘇鉄)で、都井岬はソテツ群生地の北限となり、これらは天然記念物に指定されています。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a3

1頭の牡と数頭の牝とその仔馬で形成されるハーレム単位で行動します。仔馬は1~2歳で生まれたハーレムを離れます。 彼らのねぐらは、奥に見える森です。岬の周りには森林が広がっていますので、生活圏は意外に広いと思われます。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a4

体高130センチ前後、体重300キロ前後でポニーに分類され、日本在来馬では中型馬に位置づけられます。また、足首が黒いことが御崎馬の特徴です。自動車が近づいても動揺することなく、平然としています。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a5

どこに向かうのでしょうか?こちらはただ付いていくだけです。近づいても驚くことはありません。ただ、急に後ろへ着くと350度も視野が広いので蹴られる可能性があります。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a6

一段上がったところに水飲み場がありました。ボランテイアの方々によって手厚く守られています。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a7

草を剥ぎ取るように食べるので、大きな音が途絶えません。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a8

枝の伸び方から風の強さが推察されます。御崎馬はこのように厳しい環境の中で逞しく生きています。

160922%e9%83%bd%e4%ba%95%e5%b2%ac%e2%91%a9

宮崎県串間市から隣の鹿児島県志布志市へ移動して、ホテル9階から志布志湾に沈む夕陽を狙いました。期待以上の景色に大満足です。通常の観光ルートから外れることにより、新たな発見があります。観光ガイドに頼らない旅を見つけてください。