年末を迎えるにあたり

今年も残すところ1か月を切りました。マーケットに関する話題でこの1年の注目材料は、ユーロ問題、米国景気、日本のデフレ進行と、さして2010年と比べて大きくテーマが変わらないように思いますが、1つだけ挙げるとすれば、昨今話題になる急激な円高でしょう。セミナーでもほぼほぼこの話題に関するご質問は間違いなく出現します。(毎年のことですが・・笑)
実はセミナーでもよく申し上げますが、「聞いてどうするのか・・・」というのが私の率直な意見です。私の持論を披瀝しますと、コントロールできないものについて思い悩むより、もっと時間の使い方を考えた方がよろしい、というもの。桶屋が風向きを気にするようでは、身がもちません。日本は島国であるが故なのか、そこに住むほとんどの方はどうも外からの風に右往左往する習性があるように思えます。結果的に取り越し苦労であったり、先を越されたり、といつもババを掴まされているのが国内マーケット事情ではないでしょうか。例えば日本の株式市場がエマージング市場たる所以はそんなところにあるのでしょう。残り約1か月で何が変わるわけではないのでしょうが、少なくとも急激に円安に向かうことはあり得ないでしょう。良い年を迎えられる為にも、こころの準備の1つとして、為替の流れについて触れてみたいと思います。

TPPの意味するところ

今年の11月に入ってやたらと世間をにぎわしたTPPですが、賛否両論で侃々諤々の議論に
ついて報道されていたものは、そのほとんどが「輸出補助金」と「ISD条項」に関するものでした。セミナーでも「TPPについてどのようにお考えですか?」とよくご質問をいただきましたが、往々にしてご質問される方のお顔には「反対」と書かれているので、会話を弾ませるために右か左かを決めていたぐらい、私自身、第三者的に事の成り行きを見ていたのをよく覚えています。このTPPについて、ちょっと報道内容とは角度を変えて解釈してみたいと思います。

ターゲットは日本

TPP参加表明国の内、輸出大国は米国と日本の2つ。ところが、オバマ大統領はこのTPPによって輸出量を現在の2倍にすると明言していたのをみなさんはご存知ですか?つまり、米国がターゲットとしているのは、間違いなくこの日本であるということです。
近い将来どのような事が起きてくるのか、という点だけを想像しますと・・・
①    日本で生産されたものが国外輸出されるより、これから米国から大量に“物”が輸入されてくる結果、国内物価は益々下がる可能性が濃厚
②    すると、消費動向として「お値段以上・・・」はもはや当たり前の世の中になる。(断言)
つまり、当分の間は、期待されている円安は来ないと考えるのが妥当なのです。報道内容に翻弄されることなく、大きなトレンドを捉えるいいヒントとしてこのTPPには今後も注目していきたいと考えています。