相続税の非課税枠

生命保険金は相続税のみなし財産で、相続人1名につき5百万円の非課税枠が設定されています。この規定は過去1人当たり3百万円から現行の5百万円へ引き上げられた経緯があります。一方、民主党による平成23年の税制大綱では、非課税対象者を配偶者と未成年に限定する改正案が提出されましたが、改正は見送られたままとなっています。今後、この改正案が再度審議(増税)される可能性があります。

終身保険の加入率は意外に低い

※マスコミは、しばしば国民のほとんどが生命保険に加入していると報じます。その多くは定期保険で60~70歳で満期を迎えており、終身保険の加入者は決して多くありません。生命保険は、働き盛りでの万一に備えるために加入しますが、実は一生涯活用できる金融商品の一つです。
※80歳まで保険に加入することができます。一時払い終身保険の保険料は、保険金より少ないので、仮に税制改正によって相続税の非課税枠が変更されても、実質的な経済的利益の喪失はありません。

生命保険の効果

※死亡手続から3営業日程度で保険金が振り込まれ、非常に迅速な資金化が魅力です。
※死亡保険金の受取人を指定することとは、仮に相続人間で争いがあっても受取人を変更することはできないので、少しでも公平な相続を行うことを意味します。
※保険金受取人を孫とすることにより、遺言書なしで孫に財産を分けることができます。

保険契約上の留意事項

※保険加入に際して、医師による健康診断の必要はありませんが、告知義務はあります。将来、告知義務違反とならないよう正直に健康状況をお知らせ下さい。例えば、過去にがんを罹患していても10年再発していれば加入は可能です。
※ご本人に判断能力がない場合には、加入はできません。
※保険契約は、死亡保障のみで入院特約は付けません。特約保険料が高額となるため入院費用はご自身で負担されることをお奨めします。

子や孫へ贈与した資金で生命保険に

※子や孫に年間110万円までの贈与を行い、その資金で生命保険に加入する方法があります。特に、孫への贈与は、課税関係が将来も生じませんので相続税圧縮に繋がります。子への贈与も死亡後4年前以降のものは、相続税の課税対象外となります。
※ご自身で生命保険に加入する場合に比して、安い保険料で加入することができる点で優位となります。
選考すべき保険商品は、養老保険か終身保険となります。ドル建て養老保険は、予定利回りが高いので特に若年層に向いています。
暦年の110万円非課税枠は、教育資金贈与信託と併用することが可能です。
※相続税対策は、ご家族の構成や年齢を考慮し、かつ複数の商品を組み合わせて行う必要がありますので、専門家にご相談下さい。

生命保険会社と保険担当者の選考

※生命保険は、縁故者や親族が関係する会社が選考されがちです。しかしながら、今回加入される保険契約は、保険事故を大前提としたもので、葬式の資金準備等にも活用するものです。従って、保険担当者に必要以上に負担をかけたくないという気持ちが働く方は適任ではありません。
※保険担当者は、お客様の死亡事故に立ち会う機会は年に1回に満たないそうで、意外に万一の事態の経験値は少ないのが実情です。
※長期に渡ることとなるので、保険担当者の年齢も考慮する必要があります。
※生命保険会社の選考方法は、経営破たんリスクは軽減しましたが、昨今では運用成績の格差が生じていますので、その優劣で判断する必要があります。
※過去20年間に渡って生命保険会社の運用状況や商品設計を見てきましたので、保険会社の選考もご相談下さい。