一昨年春に取り纏めたHP更新奮闘記から早いもので1年半が経過しました。その後も様々な角度からHPの品質向上を試みましたので、その実績を踏まえて再度記しました。

1 ホームページの見直し

HPは中小企業に非常に安価な広告宣伝ツールとしての機能をもたらしました。しかし、広告宣伝という経営機能は即効性が乏しいことから、更新されることもなく放置されると、効果が出てにくくなっています。

当職もHP制作の契約を締結して3年間放置し、公開後も1年程度は更新を怠っていました。しかしながら、更新を重ねたHPには一定の効果があることを知るや更新作業(誤字脱字の確認、コンテンツの追加、検索キーワードの見直し)を重ね、検索状況の確認ツールによるデータ解析から新たな問題点の発見に繋げ、問い合わせや新規顧客との契約に結びつき、セールスツールとして機能を持つに至りました。

2 複数の専門家の意見を聴くことがキー

WEBの技術革新の速度が速すぎることと、様々な情報が交錯していることから、一人のコンサルタントだけに頼っても最善策は見出せません。複数の情報源を持つことにより多面的な分析と解決策の発見に繋がります。

3 社内の広報誌としての役割

HPは社員全員が閲覧できることから、会社の進むべき方向性を共有することともに、より理解を深めるために視覚に訴えることが可能です。HPの告知効果は新規顧客開拓に留まらずスタッフとのコミュニケーションツールとなり得るので、今一度HPの制作目的を明確化しましょう。

4 HPにはどのような効果を期待されますか?

HPの制作目的と期待する効果をもう一度整理しましょう。期待値と実績との乖離は、期待値に対する方法論に誤りがあるからで、効果が表れないと放置することは上場企業ではありえない行動です。目的を達成するための改善策も併せて検討していきます。みなさんの期待される効果は、概ね次の通り整理できます。

  1. HPを通じてお問い合わせが寄せられ、それが受注に結び付くこと(無人の集客装置)
  2. 既存のお客様にさらに弊社を知っていただくための広報誌
  3. 会社案内のWEB版としての位置づけ
  4. 求人広告のWEB版資料
  5. 企業理念や経営方針を明示することによって、従業員に対して目指す方向を常に示すことができる絵コンテ
  6. 名刺交換した際に弊社をより深く理解していただく資料

5 何故HPによる集客ができないのか?

集客力のあるHPがどのような工夫が加えられているか考えたことがありますか?HPで集客できなくとも他の方法で解決すれば良いと問題をすり替えていませんか?セールスツールは複数のメディアを活用することが必須で、いつまでも営業力は強化できないこととなります。

6 HPできちっと自社の製品やサービスの内容をお客様の立場で紹介できているか?

一般に、HPの記載事項は会社概況が中心で、製品やサービスに関する詳しい情報は限定的な記載方法となっています。どんな製品やサービスであっても同業他社との相違点(チャームポイント)があるはずですが、その説明が見られません。これは、BtoBでも同じです。もし、他社との差別化を意識した文書や表現が思いつかない場合には、電気部品や自動車部品の大手企業のHPをいくつも見て参考としましょう。

また、自社のチャームポイントを文書化できないということは、従業員とも御社の強みを共有化できていないこととなります。企業理念や経営方針に他社との差別化が謳われていない場合には、これを契機として全社で共有する差別化の文書(もしくはスローガン)を作成しましょう。

7 HPはどの程度の頻度で更新していますか?

  ①ネットにアップしてからほとんど更新していない

  ②年に1回程度の頻度で更新する程度である

  ③季節ごとのニュースやスタッフによるブログを適宜更新している。

  ④最低月1回は何らかの更新を行うよう努力している。

HPの更新頻度が上記程度ですと、検索エンジンによる上位掲載は無理です。上位掲載されなければ、不特定多数のお客様かrの問い合わせは得られません。また、高度な技術力や地域特定のニーズのある潜在顧客からの問い合わせも逃す結果となります。

8 何を更新すれば良いのか?

完成したHPをどのように更新すればよいか、新しいコンテンツをどのように増やせばよいかなかなか見いだせません。無理なく増やせるコンテンツは、スタッフによる日常業務の活動報告や御社の業界の専門用語の解説です。自社のHPに解説集を用意することにより、検索キーワードの登録数を増やせるので、潜在顧客からのアクセス数を増やすきっかけにもなります。

9 原稿作成はスタッフとの協同作業からスタート

ITに強いスタッフに文書力や構成力までも求めることは難しいでしょう。まず、社長自ら文書の見本を提示しなければ先に進みません。技術用語の取り纏めは、定型フォームを用意してスタッフに下書きを書かせて社長が校正するフローを作りましょう。スタッフも正確な基礎知識を習得することができますし、誰が作成した文書かを明記すれば、お得意先との話のきっかけにもなりましょう。

10 更新は月何回行うのか?

HPを社内コミュニケーションの場として位置づけするならば最低月1回の更新は行わないと、従業員の注目度は落ちます。同様に、社外の方々のアクセスを増やそうと思っても検索エンジンによる掲載順位は何時までたっても改善されません。

更新内容は会社ニュースや用語集を追加するだけではなく、検索キーワードの変更も1回としてカウントします。HPにブログやFBを連動させて、これらSNSを更新することによって、検索エンジンの評価も上がります。

また、業務用Face Bookは1週間新しい投稿がない場合には、その旨が管理画面に表示され、原稿作成を促されます。このメッセージを見たくないので、FBへの投稿回数は確実に増えました。ネタ探しする時間帯は、電車での移動時間中が最も多いです。短い時間の中で、あらすじだけをメモ書きし、定時以降お客様からのお問い合わせがなくなる頃に文書として纏めていき、日曜日の午後は専ら校正の時間帯となりました。

11 効果測定はどのように行うか?

広告宣伝活動は、その費用対効果を把握することが難しく、逆に思い切った支出ができませんでした。WEB広告は、“SEOチェキ”や“Google Analytics”のような無償ツールを活用することにより、利用回数や利用状況を把握することができます。これらの数値データを時系列で分析するとHPの弱点や改善点を見出すことができます。

例えば、“Google Analytics”では、HP上のページ毎のアクセス順位、どのページから入ってどのページから離脱したのかという行動記録、閲覧者の年齢層分布、アクセス数、滞在時間、閲覧者の市区町村別所在地、有料広告によるアクセス状況等を数値データで確認できます。

“SEOチェキ”はキーワード分析で、予想される検索キーワードによる掲載順位が何番目かを確認できます。過去5年間 “横浜、税理士”で何番目に掲載されるかチェックしています。同じキーワードで掲載順位を定期的に確認することによって、検索エンジンの評価順位が把握できますので、定点観測は重要です。

“SEOチェキ” http://seocheki.net/

“Google Analytics” www.google.com/intl/ja/analytics/

12 効果測定の結果、どのようなアクションをおこすべきか?

作り手が読んで欲しいと思って作りこんだページは、意外と人気がありません。逆に、読み手が集中するページは、内容をもっと掘り下げ、解りやすい表現に書き換えることによってさらに読者を増やすことができます。また、ページごとに設定する検索キーワードも随時確認して差し替えします。細かな作業の繰り返しですが、これを重ねることにより品質向上を図ります。

13 スマホ対応のサイトへの切り替え

今春までHPへアクセスするデバイスは8割がPCで、残り2割がスマホやタブレットでした。ところが、7月に入るとスマホ・タブレットの比率は4割弱まで伸びています。ところで、画面の小さなスマホ・タブレットの表示サイズに合うよう自動的に変換するソフトが普及していますが、PCサイズでしか表示できないサイトは、今後見向きもされないものとなってくるので、その対応は不可避と言えます。

当職のメインサイトは、Word Expressというフリーソフトで常にバージョンアップされており非常に快適な環境となっています

14 目標アクセス数

一般には100件のアクセスに対して問い合わせ1件と言われています。業種による格差は大きいですが、月100件程度のアクセスではほとんど反応がないのが実態です。過去実績で見ますと、月1000件を超えると問い合わせ件数も2~3件とコンスタントに発生しています。目標は高く設定しませんと、いつまでたっても効果は得られません。HPのランニングコストを回収するため1件でも成約できるよう頑張りましょう。

15 問い合わせ件数を増やすヒント

HPには問い合わせ用にフリーダイヤルを設けることをお奨めします。受信した際に、「フリーダイヤルからの通話です」というアナウンスがある点も便利です。残念ながら問い合わせ件数は月に2件程度に過ぎませんのでコスト増には至りません。

16 会社案内と製品カタログは分けて制作する必要がある

HPは会社案内のWEB版として位置づけられます。会社に全体像を把握するには複数のページを閲覧する必要があります。一方、特定の製品やサービス内容を把握したい潜在顧客は、複数のページに渡って見ないと把握できない構成となっていた場合には、作業の途中でサイトから離脱してしまいます。そのため、特に注力している製品やサービスは、カタログやチラシのように情報を絞り込み、潜在顧客に見やすいよう構成を変える必要があります。特に、スマホ利用者にとっては、1ページをスクロールすることによって全体像が見渡せる構成が好まれます。

従って、HPからの集客を増やしたい場合には、特定の製品やサービスをPRする専用のHP(もしくはLP)を用意する必要があります。

17 広告宣伝は企業の差別化の一つ

漫然とHPから情報を垂れ流ししても誰の目にも触れません。しかし、多くの企業がHPを放置したままですので、ここで少しHPに力を入れるだけで広告宣伝効果はアップします。

また、HPの更新を重ねることを通じて、低コストでどのように認知度を引き上げるか考える癖が身に付きます。おそらく、意識しているか否かで同業者と大きな差をつけることができると考えます。

アクセス数の状況を毎月スタッフに伝えることによって、少しずつHPへの興味も深まっており、その効果を共有することで参加意識が高まってきました。

18 HP運用上のコストセーブ方法

自社で一からHP制作するケースを除くと、ソフトウエアを5年間リースする契約が多いのが実情です。昨今では、ソフト利用料ゼロのフリーソフトは有償ソフトともはや遜色ありません。仮に、リース契約が近々に終了する場合には、もはやソフトウエア契約を更新せずにフリーソフトに切り替えることをお奨めします。

当方はデザイナー氏にフリーソフト上でHPの画面設計を依頼し、自分ができない更新作業はデザイナー氏に委託しています。毎月最低1回自分では更新できない作業をデザイナーに委託していますが、いつでもサポートしてもらえるという安心感は、これまでのベンダーにはない優位性です。

今後も技術の向上は無限に広がるでしょうが、閲覧者の方々にとって見やすいHPを作成するデザイン重視のHPが主流になるように感じます。現在の当方の維持費用は、特殊な更新作業を外部委託した場合のみで月額1万円に達しません。

もし、当方のHP運用にご興味いただけましたならば、HP制作および更新作業方法をお知らせします。  

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