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少人数私募債の活用方法

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少人数私募債とは?

社債には、公募債と私募債の2種類があります。

公募債とは、50人以上への勧誘を予定しているもので上場企業が証券会社を通じて発行するものが代表例です。

私募債とは金融機関のみを引受手とする場合と50人未満の投資家に対して募集するもので、少人数私募債は後者を指します。
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私募債は個人では発行できません。
株式会社(特例有限会社を含む)、合同会社、合名会社、合資会社のみ発行することができます。
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社債の勧誘対象者は49名に限定されます。
従って、インターネットで広く募集することはできません。
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発行後も投資家は49名以下であることが条件となります。
このため、社債の譲渡を制限する設計(転売は一括で行う)としなければなりません。
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社債管理者(金融機関)を非設置とするため、社債総額を社債1口の最低金額で除して50以下になるよう社債1口の金額を設定する必要があります。※1)
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少人数私募債は、金融商品取引法を根拠立法とします。

(※1)例 えば1億円の社債を発行する場合に【A…6千万円】【B…3千万円】【C…9百万円】【D…1百万円】で引受先を募集すると、最低引受金額 1百万円では1億円の社債を満たす人数が「100名」となってしまいます。そのためこの場合は、最低引受金額を2百万円に引き上げる必要があります。これ は、投資家を49名以下とするための措置です。

少人数私募債のメリットは?

① 社債管理者を置かないため、金融機関への管理コスト負担がありません。

② 取締役会の決議のみで発行を決定することができます。

③ 少人数私募債は無担保で発行することができます。

④ 返済方法は償還時点での一括返済です。従って、長期間に渡り資金を有効活用することができます。

社債管理業務

社債管理者が不要となるかわりに、下記業務を社内で行う必要があります。

【 募集時 】
□ 少人数私募債は、社債権者のみならず、勧誘者も49名に限定され、内部管理上「勧誘者名簿」を作成します。

□ 社債の専用口座を開設し、社債申込証拠金の入金を分別管理します。

【 社債申込証拠金の入金時 】
□ 社債発行会社は、社債権者に「社債申込証拠金預り証」を交付します。

□ 下記事項を記載した社債権者の名簿となる「社債原簿」を作成する義務があります。
① 社債権者の氏名(または商号)及び住所
② 社債の枚数及び金額
③ 社債の取得年月日
④ 社債券の番号
⑤ 償還前に譲渡があった場合には譲渡人の氏名及び住所

【 社債利息の支払時 】
社債利息は、15%の所得税(※2)と住民税5%を源泉徴収した残額を社債権者へ振込します。
源泉徴収した税金は支払日の翌月10日までに、所得税は所轄税務署へ、住民税は都道府県事務所へ納付します。(※3)

(※2)平成49年まではこれに復興特別所得税0.315%が加算されます。
(※3)事前に都道府県事務所へ利子割の対象となる利子を支払うこととなった届出書を提出します。

【 支払調書の発行 】
1年間支払った社債利息に係る支払調書を社債権者に対して、翌年1月末日までに交付します。
これら社債管理業務は、当方で代行します。

《 社債管理者 》
社債管理者とは、社債権者のために弁済の受領・債権の保全・その他の社債管理を行う者です。社債管理者は、銀行・信託銀行・担保付社債信託法第3条の免許を受けた者に限られ、一般には発行会社のメインバンクが指名されることが多いです。

《 社債利息の利子割 》
普通預金を受け取る時には、都道府県へ利子割が源泉されて入金します。社債利息を支払う場合はこの逆で、利子割を都道府県へ支払わなければなりません。まず利子割を支払う事務所となったことを届出し、社債利息の支払日の属する月の翌月10日までに納付します。

私募債にかかる社債利息の税務上の取扱いは?

① 社債利息は発行法人の費用となります。

② 社債権者の受取社債利息は利子所得で20%の源泉徴収で課税関係は終了します。

③ 社長個人の会社への貸付金利息は雑所得として総合課税されるので、社債利息の方が有利となるケースは多いと言えます。

平成25年度税制改正

株式と社債の税務上の取扱いを、できる限り同じにしようという金融所得課税の一体化に合わせて、同族会社が発行する社債利息で、同族会社の役員が支払を受けるものは、平成28年1月1日以降発行源泉分離課税ではなく、総合課税することとなりました。

平成28年1月以前に発行されているものは、申告分離課税が継続適用されます。

税務上のリスク

会社の代表者へ高利率で社債を発行した場合に適正利率を越える部分の利息は、利息ではなく役員報酬等と認定される可能性があります。

発行会社も支払利息を役員報酬と認定された場合には、賞与として取り扱われ損金不算入となります。

このように、平成25年税制改正前に発行される社債でも、留意事項が存在します。

社債利率について

会社の代表者や同族関係者を社債権者とする場合には、金融機関の貸出金利(※4)とほぼ同率であれば税務上のリスクは回避できます。
低成長期における金融機関の貸出金利は、4%を超えることはありません。

会社の代表者以外が社債権者となる場合は貸出金利を上回らないと、募集が困難となる可能性が高いでしょう。
金融機関から融資を受けられない状況の場合には、5%以上でも経済的合理性は説明することが可能です。
他社事例で最も多いのは3%です。

会社の代表者からの貸出金を社債に切り替える場合、貸出金利をそのまま適用することも可能でしょうが、総合的な判断が求められます。

(※4)信用保証協会の保証料分を加味します。

《 金融機関の評価 》
金融機関は、代表者からの借入は資本金として判断します。一方、社債については無担保で資金調達するため、法人の信用力を図る尺度となり、評価は上がります。金融機関の借入条件を引き上げることも可能な場合があります。

私募債の発行スケジュール

事業計画書の作成無担保で借入を行いますので、事業内容に賛同してもらうことが第一歩です。償還期間に合わせた長期事業計画書を作成する必要があります。

募集要項の決定と取締役会での決議取締役会で募集要項を説明して社債の発行を決議します。社債発行総額は事前決議しますが、応募がなければ不発行とします。

【 社債引受人の募集 】
一覧表を作成して勧誘対象者が49名を越えないよう準備します。

【 「社債発行趣意書」の作成 】
社債発行による使途を事業計画書で説明し、その鑑となるのが「社債発行趣意書」です。

【 社債申込者の勧誘 】
上記趣意書と事業計画書を持って説明会もしくは個別訪問で勧誘を行います。
社債権者の資金準備期間を考えますと、払込期日の3週間前に行います。

【 「社債申込証」の作成 】
説明会で「社債申込証」もお渡しし、1週間の期限で提出してもらいます。

【 社債発行額の総額確定と「社債割当決定通知書」の作成 】
申込終了と同時に社債発行額の総額が確定します。
払込期日の1週間前に「社債割当決定通知書」を作成して社債申込者全員に通知します。

【 申込金額の受領 】
社債発行日の1週間前に申込金を払い込んでいただきます。

【 「社債申込証拠金預り証」の発行 】
領収書として「社債申込証拠金預り証」を社債権者へ交付します。

【 「社債原簿」の作成 】
社債券を発行しないので、社債権者ごとに償還までの異動状況を記録する帳簿です。
法定帳票ですので必ず記録する必要があります。

自治体による補助金制度

下記の通り一部自治体で利子補給制度があります。

□ 東京都足立区(社債利息2%相当額を2年間補助)
□ 東京都文京区(同上)
□ 埼玉県川口市(同上)

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