私の妻の実家の墓は、男兄弟がいないため妻が守っていますが、その後は娘が引き継いでくれることとなっています。お彼岸の度に菩提寺に通っていたことから、お寺との関わりが日常生活の一部であったことから娘自ら墓守を申し出てくれました。この事例のように次の世代からの申し出は円滑な解決に繋がります。 

ご質問の件は、次の通り整理できます。

①前述の通り、まず甥御様が叔父様と叔母様へ墓守を担うことをお伝えし、その方法を説明して下さい。

②現在の民法は、墓守に関して次の通り規定しています。「系譜、祭具及び墳墓の所有権は前条の規定に拘らず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。(民法第897条)」

③甥御様は叔父様の推定相続人にはなりません。

④甥御様が祭祀の管理を承継するために、次の文言を記した『公正証書遺言書』を叔父様に用意していただく必要があります。なお、お墓の管理費用は、定期的な出費が伴いますので預金を遺贈してもらいます。管理費用は、寺社によっても地域によっても大きく異なります。

「第〇条 遺言者は、遺言者及び祖先の祭祀を主宰すべき者として〇〇〇〇を指定する。

   2 〇〇〇〇には、祭祀に必要な費用に充てるため、次の預金の全部を相続させる。

     甲銀行A支店 普通預金 1234567

     乙銀行B支店 普通預金 7654321」     

⑤『公正証書遺言書』とは、公証人役場で公証人に作成してもらう遺言書です。公証人が作成するので無効になることはなく、原本が公証人役場で保管されるので、滅失・隠匿・偽造・変造の恐れがありません。

⑥この文面では、叔母様が存命中から祭祀の管理を甥御様が承継することとなります。叔母様の遺言書で伯父様のご意向が明記されない可能性もあるため、叔父様の遺言書で明記する必要があります。勿論、ご親族様全員が書面にする時点で本件について同意することが大切です。

⑦甥御様のご両親様にも祭祀の管理を担うことをきちっとご説明しましょう。

墓地の承継