公正証書遺言の作成は、公的拘束力を有することから公証人による確認作業や親族もしくは第三者による証人2名の確保を要します。遺言書の記載方法は、書店で手引書が販売されていますのでこれを参考に纏めて下さい。ただ、公的書類であるため細かな取り決めがあり、ご不安な方は司法書士に作成を委託する方法があります。専門家に作成してもらうことにより、公証人による確認作業も短縮されるメリットがあります。
①専門家の意見を積極的に聞く
証人の一人は司法書士を指名し、遺言書の記載方法の助言を併せて受けることをお薦めします。民法に定められた“遺留分”を全く無視し、ご自身の思いだけで作成された遺言書も多く、公正証書遺言書の半数以上でトラブルがあるからです。ご自身の気持ちがどの程度民法や世間の考え方とずれがないか専門家の意見を耳にしながら作成しませんと、“争続”のきっかけとなる可能性が大きいです。
②遺言執行者の選任
遺言書には遺言執行者として相続人の中から代表となる者に指名します。ただ、相続人間でトラブルが生ずる可能性がある場合には弁護士に依頼しましょう。この場合には、遺言執行料を遺言書に明記するケースがありますが、高額な遺言執行料が記されるケースを見たことがあります。信頼関係があっても本人死亡後に巨額の請求書が送付される可能性もありますので、きちんと記載内容をご確認下さい。その意味では、長年の付き合いがあることだけで遺言執行者を選任することは回避すべきです。
③公証人の選定
公証人とは元裁判官の方が多く、事務手続には厳正な方が多いので、司法書士に証人を委任すると司法書士が登記の際にお付き合いのある公証人の紹介を得られます。遺言書の内容が事前に弁護士や司法書士によって確認されていると、公証人による検証作業も短縮されるメリットもあります。
④公証人への報酬支払
基本的に、公証人への報酬は当日現金支払です。従って、事前に報酬金額を確認する必要があります。報酬は、将来の相続財産に応じて変動しますが、10万円を目安として下さい。
⑤証人の選任
公証人による確認作業は平日行われますので、ご親族を証人にご依頼する場合にはその点をきちんとお伝え下さい。
⑥証人への報酬
証人には事前の遺言書の記載内容の確認作業と公証人役場での署名捺印を依頼します。証人への礼金は、1〜2万円(遺言書の原稿を1から作成してもらった場合には3万円を加算)に公証人役場までの交通費を加算して、公証人役場での手続が終了した時点で現金でお渡しします。
⑦遺言書の原本
遺言書の原本は公証人が保管し、謄本が遺言書に手渡されます。非常に重要な書類ですので、手許にはコピーを残し、謄本は貸金庫や厳重な書類保管庫に保管願います。
【写真の解説】
イタリアで最も収蔵品が多い美術館であるウッフィーツィ美術館(Galleria degli Uffizi)に夜間貸切で訪れました。近代式の美術館としてはヨーロッパ最古の一つです。