何故投資信託で失敗するのか?

今や有価証券投資の中心となった投資信託は、日本の投信会社設定分だけで74兆円にも達します。一方で、投資信託で大儲けした話はあまり耳にしません。本来は、プロが分散投資して運用する商品であるため、一定の運用益が期待できるはずですが、何故損失を被るのでしょうか?

投資信託の本来の運用スタンス

証券投資信託は、1860年代英国で開発された合同運用の商品です。本場英国で最も古い投資信託は、運用開始から140年経過したがあります。投資信託とは超長期の期間で運用利益を出すもので、運用益も投資家に分配せずに再投資することを常とします。投資家もじっくり値上がりを待ちますので、一時的に損失が出たからといって衝動的に売却しません。
皆さんの投資スタンスはいかがでしょうか?証券会社は損失が出ると他の投資信託への乗り換えを勧めませんか?この点も日本の悪しき特徴と言えます。

運用会社と販売会社との関係

米国との最大の相違点は、投資信託の商品設計と運用を担当する日本の投資信託委託会社のほとんどが販売を担当する証券会社の子会社である点です。
証券会社は、投資信託の保管ではほとんど手数料を収受できず、専ら売買時点で手数料を稼ぎます。売買回数を増やすために、投信会社には毎年新しい商品開発を指示し、損失が出た投資信託を売却させて新商品を買うよう投資家を勧誘してきました。
一方、米国は投信会社と証券会社とは資本系列がないので、証券会社の意向によって投信会社が新商品開発を急ぐ必要性はありません。
昨今では、証券会社OBが独立系の投信会社を設立して、独自の投資手法で好成績を上げており、本来の商品性を有する証券投資信託を買い求めることができます。

年金の補完商品とはなり得ない

現在の株式投資信託の半分以上は、毎月分配型です。これも日本の投資信託の特徴の一つでもあり、運用成果が上がらない理由の一つです。分配金を年金の補完として投資信託を投資対象とするよりも、定期預金を毎月取り崩す方が確実かつ安全と言えます。

金融派生商品が傷を深くした

金融派生商品とは、銀行や証券会社の為替や市場リスクを最小限に留めるため高度な金融工学を駆使したものです。15年前までは、法人向けの投資対象に組み込まれていましたが、現在は個人向け投資信託にも組み込まれています。金融機関の窓口の販売担当者で非常に難解な派生商品を完全に理解している方はほぼ皆無でしょう。要は、一握りのプロしか理解していない商品が、誰にも理解されずに販売されているので、どのタイミングで損失が出るかも解らないのです。
さらに、金融派生商品を組み込むと商品設計コストがグンと引き上がるので、運用会社と金融機関だけが儲かる仕組みとなります。

南アフリカ→ブラジル→豪州→トルコ

これまでの投資対象は、欧米の株式・債券と日本の株式・債券に限定されてきました。前述の通り、日本の証券会社はこれらの投資対象で損を被った投資家に買換えを促すために、その投資先を次々に変えてきました。ワールドカップと資源による好景気到来を予測して、南アフリカやブラジルを投資対象とし、その後金利政策や海外投資家の資金流入制限の変更があると豪州やトルコを新たな投資先としました。
このように、投資商品の賞味期限が短くなるため、長期投資に向かないものとなります。
欧米に比して経済成長が見込める可能性はあるものの、著しく情報量が少なくリスクは大きくなるばかりで、投資ではなくもはや“投機”となっています。

投資信託は投資対象とならないのか

前述のように、独立系の投信会社は本来の長期投資を目的とした商品を提供しています。また、株価指数等に連動した上場投資信託(ETF)のように手数料がゼロに近い商品もあります。長期投資対象となる商品はご自身で探せば見つかります。
一方、ブラジルレアル債や通貨連動型のように仕組みが複雑で、ご自身で商品内容が解らないものは保有しないことが投資の王道ではないでしょうか。


投資信託の長所

数多くの投資家からお金を集めて、投資単位を大きくし、かつ多数の銘柄に分散してリスクを抑えることができるので、本来は個別銘柄に投資するよりも運用効率は良い商品です。

残念ながら、日本では様々な障害があって商品の完成度が上がらず米国ほど普及していません。