今回の「感・即・動」は、相手の長所を見極めることで人間関係を好転させ、自分自身も成長できる「尊敬スパイラル」についてご紹介していきます。

他人の短所に目がいってしまう…。

相手のいいところをいち早く見つけるように心がけると、自分のいいところに気が付き、意識が向くようになります。これは心理学で「投射」と呼ばれる現象をうまく利用した方法です。さらに、人間には「人を模倣する」ミラーニューロンという神経細胞が脳の中に定数、存在しています。相手のいい部分に注意を向け、観察をするとその部分が自分に取り込まれる可能性があるのです。世の中、気の合う人ばかりではありません。しかし、この作用を知っていれば、どんな相手でも、いいところを見つけてあげることで自分自身もポジティブになれるでしょう。

相手の長所を探し出すメリット

これは、心理学や脳科学の世界と関係します。相手の悪いところよりもいいところを探した方が、自分にプラスに働くことがわかっています。人間は、無意識のレベルで他者の悪いところや欠点を探しています。無意識なのでコントロールはできません。これは人間に備わっている防衛本能のひとつで「自分へのストレスは相手に向けることでかわす」という反応です。自分の悪いところに目を向けたくないわけです。そのため、相手の欠点を速やかに見つけるように、脳がコントロールしているのです。つまり、他人の悪いところが気になるのは、本能といってしまえばそのとおり。しかし、この働きを逆手に取ることができます。

相手の長所を探し出すコツ

長所を見つけるというと難しそうに感じるかもしれませんが、コツさえ掴めば誰でも見つけられるようになります。ここでは、そのコツを3つ紹介します。

1. 色眼鏡を外す
長所を見つけ出すには、まずは色眼鏡をかけずにその人を見ることが大切です。「過去にこんなことがあったから」とか「こんなうわさがあるから」とかではなく、今そこにいるその人を観るようにしましょう。実際に話してみたらうわさは事実無根でとても良い人だった、ということもあるかもしれません。人に関するうわさや話を聞いた時には、それが本人も認めているものなのか、それとも別の人が言っているだけなのかをしっかりと区別するようにしましょう。

2. 積極的に相手と関わる
次に大切なことは、長所を見つけようと積極的にその相手と関わることです。関わろうとせず、避けていては長所を見つけるべくもありません。関わろうとするコツは、相手について自分が知らないことを考え、相手に興味を持つこと。興味を持てば、少しは関わろう、話そうと思えるはずです。そう思えたら、あとは話しかけてみるだけ。自分のことを聞かれて不快になる人はそうそういませんから、ぜひ積極的に質問してみてください。

3. ポジティブに物事を捉える
あらゆることをポジティブに捉えるのも大切なことの一つです。一見ネガティブなことでも、見方を少し変えるだけで非常にポジティブな事柄になります。例えば、仕事をたくさん振ってくる上司がいたとしましょう。その上司を大量の仕事を押し付けてくる慢な人だと捉えることもできますが、成長さるためにたくさんの経験を積ませてくれているんだと捉えることもできます。他にも、一日おきに指示を変えてくる気分屋な上司は柔軟で慎重な人だと考えることができますし、記憶力が無い人はいつも新鮮に物事を考えられる人だと思えます。空気が読めない人は、人が言えないことを言える貴重な人だ、などと考えることができます。

結局、相手の長所を見つけられる、それが出来ずに苦手に感じてしまうかは、自分の考え方次第だということです。それならば、長所を認めることで尊敬スパイラルを創り上げた方が自分にとっても相手にとっても幸せなことは明らかです。まずは自分自身の認識を変えていきましょう。

つまり、「他人の長所」は「自分の長所」にもつながる

アメリカの有名な教育哲学者であるウィリアム・アーサー・ワードは次のような言葉を遺しています。”他人の長所を見つけようとすると、どういうわけか、自分のよいところが引き出される。”(引用元:Brainy Quote|William Arthur Ward Quotes)他人の良いところを見つけようとすることは、そのまま自分の長所を見つけることにもなるということです。相手の中に自分を見ることはありませんか? そういう自分と似ている人の良いところを見つけた時には、「相手の長所=自分の長所」となることも多く、自分の良いところの発見にもつながります。また、他人の長所をうまく見つけ出そうとすると、「長所を見つける力」を養うことができます。その力が身につけば、他人よりも遥かに関わりの深い自分自身の長所をたくさん見つけることができます。相手の長所を見つけることは、そのまま自分のためにもなるのです。

文責 株式会社HRラーニング・サーチ 仲本親司