合同会社とは、平成18年の新会社法施行によって認められた会社組織です。欧米ではLLCとして株式会社と同様に適用されている形態です。日本では定款認証が不要であることから設立費用が安い会社形態として注目されています。
合同会社と株式会社との相違点として、利益の配分を出資比率によらずに自由に決めることができます。現実的には、利益の配分(=配当)できる企業は限定的であり、これがメリットとなるケースは稀と言えます。
さて、法人設立のご相談をいただくと、8割の方からこの質問を頂戴します。結論から申し上げますと長期的視点で見ても法人で行う取引を不動産投資、株式投資又はFX投資に限定されている場合には、合同会社であっても何ら問題ありません。
合同会社であることを理由に証券会社から証券口座開設を断られた事例を耳にきたことはありません。また、証券投資や為替証拠金取引の障害とはなりません。
ところで、合同会社として設立した後に株式会社へ組織変更することも可能です。しかし、登記費用(登録免許税6万円+登記手続費用)がかかりますので、設立時点でどちらを選択するかじっくりご検討下さい。
先日、東京ビッグサイトで開催されたロボット展へ出向きましたが、一つのブースで合同会社と記されたボードを見つけました。その文字だけで展示された製品が陳腐に見えたのは錯覚でしょうが、悪い先入観を与えたことは事実です。法律的には、大きな取り扱いの差はありませんが、日本における合同会社の歴史の浅さと、新しいものを受け入れ難い国民性から、特に企業が成長する過程で障害となる可能性は否定出来ません。得意先や仕入先が複数ある業種(卸売業、サービス業、製造業)での合同会社としての設立は、個人的にはお奨めしません。
かつて当職が勤務していた1部上場の電機メーカーは有限会社とは取引しない社内ルールを有していましたが、同様の取扱いが生じるリスクも回避したいです。企業運営はマラソンと同様長期戦です。10万円程度の設立費用をケチることで、企業イメージを損なうことは避けるべきと考えます。
《写真の解説》
宮崎県宮崎市の青島海岸を訪れました。鬼の洗濯板と呼ばれる独特の風景と南国情緒が溢れる青島神社を巡りました。亜熱帯植物の北限地であるそうで、見るもの全てが新鮮に映ります。もう少し強い日差しが指していれば写真の印象も変わったはずですが、技術ではカバーできませんでした。