世間で話題となっている人工知能(Artificial Intelligence)の発達はめざましいものがあります。新聞でも専門用語がそのまま掲載される時代ですので、代表的なものだけでも押さえておきたいものです。
●シンギュラリティ(技術的特異点)
人間と人工知能の臨界点を指します。人工知能が自分自身より賢い人工知能を作ることができるようになった時、それを無限に繰り返すとすれば爆発的な技術が進歩すると考えられます。未来学者レイ・カーツワイルは、2045年にこれが起こると予測し、「2045年問題」とも呼ばれています。特異点の後では科学技術の進歩を支配するのは、人類ではなく強い人工知能に代わられ、これまでの人類の傾向に基づいた進歩予測は通用しなくなると考えられています。
●エキスパートシステム
人工知能研究から生まれたコンピューターシステムで、特定分野の問題について専門家に提供された情報を解析するルール群から構成されるプログラムです。通常のプログラミングのようにソフトウエア開発者が設定した手続に従うわけではありません。AIソフトウエアとして最初に成功を収めた形態です。
●機械学習
人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピューターで実現しようとする技術を指します。センサーやデータベースなどからある程度の数をサンプルデータ集合を入力して解析を行い、そのデータから有用な規則・ルール・知識表現・判断基準などを抽出し、アルゴリズムを発展させます。機械学習は、検索エンジン・医療診断・スパムメールの検出・金融市場の予測・DNA配列の分類・音声認識や文字認識などのパターン認識・ゲーム戦略など幅広い分野で用いられています。
●ディープラーニング
ディープラーニングは、機械学習をさらに発展させたものです。機械学習から情報やデータを分析する際に使用する枠組みは、人間の神経を真似て作った「ニュートラルネットワーク」によります。質の高い大量のデータ(ビッグデータ)を見ることによって、どこに注目すれば良いかをコンピューターが自分で学習し、人間からの指示を待たずに進化していきます。特に言葉で特徴を定義することが難しい場合に高い効果を発揮します。ディープラーニングは、Googleを初めとする多くのIT企業が研究開発に力を入れており、自動運転の障害物センサーへの利用や囲碁チャンピオンに5戦全勝した汎用システムAlphaGoがこれに該当します。
●ビッグデータ
市販されているデータベース管理ツールや従来のデータ管理アプリケーションでは処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物を表す用語です。具体例としては、インターネット文書・インターネット検索のインデックス作成・通話記録明細・天文学・大気科学・ゲノミクス・生物地球化学・生物学・軍事偵察・医療記録・写真アーカイブ・大規模なeコマースが挙げられます。
●データマイニング
統計学・パターン認識・人工知能等のデータ分析の技法を大量のデータに網羅的に適用することで知識を取り出す技術を意味します。データマイニングは、仮説検証(目的志向)的データマイニングと知識発見(探索)的データマイニングの2種類に大別されます。前者は目的変数があり、購買量や顧客の反応を予測したり、そのために顧客を分類したりするものです。回帰分析・決定木・ニュートラルネットワークなどの多くの手法は、目的をもってモデルを作るために使われます。後者には目的変数がなく、得られたデータから有用なルールやパターン・類似性などを見つけ出そうとするもので、マーケットバスケット分析に用いられるアソシエーション分析があります。
【写真の解説】
ミラノはイタリア第2の都市で、トリノ・パルマと共に北部のポー平原に位置します。気候は、地中海性気候ではなく日本と同じ温暖湿潤気候に属します。スフォルツァ城・スカラ座・ミラノ大聖堂・ガッレリアと見処も多い観光都市でもあります。