税理士に会計業務や確定申告を委託することのメリット
①業務の効率化
仕入・仕込み・接客・片づけの多忙な工程の合間に、売上や仕入の集計を行い、原価管理まで細かく追っていると寝る間もありません。勿論、日々の利益計算を疎かにすれば、資金繰りの悪化に陥ります。このような間接業務は、細かなノウハウと管理ツールの採用で作業時間は大幅に軽減できます。最低限の作業を行い、集計業務を税理士へ委託することにより、メニュー開発や顧客管理に割り当てる時間を増やすことができます。料理飲食業は、まず売上を上げることが最も重要です。
お客様には、毎日の売上をこちらでご用意する売上集計表へ転記していただくか、Airレジで集計された結果をメールでお送りいただきます。経費もこちらでご用意する現金出納帳へ日付・金額・支払先を入力していただきます。これらの作業は1日20分で完了します。
②経営の見える化
日々の売上や原価の分析や集計表は、当方で作成しこれを添付ファイルでお渡しします。利益管理の第一歩は原価率の把握と適正化です。月単位で損益状況を把握することで、利益管理はきちっと行うことが可能となります。反省材料から集客力を高める対策を見出す作業を繰り返します。その点でも、月次単位でのデータ分析は必須といえます。
もし、確定申告時に1年分のデータを纏めて処理されているならば、毎月行うべき問題点の洗い出しが1年間先送りされていることになります。
③専門家ネットワークによる経営支援
自分の立ち位置を常に確認することは難しいです。会計・税務のみならず法律・保険・広告宣伝等の各分野の専門家のネットワークを活用して、経営における様々なリスクを回避し、経営課題に一緒に対処します。
料理飲食店は、移り変わるお客様の要望を先取りした告知方法を駆使し、様々な人脈に訴えて新しいお客様の獲得を行う必要があります。ファン層は自然に増えるものではなく、お客様へアピールし続けることが肝要です。複数の自称営業部長を抱えることができる点も税理士事務所を活用するメリットの一つと言えます。
“認定支援機関”による特別融資枠を利用した有利な融資
①“認定支援機関”とは
中小企業の新たな収益の柱の構築や利益率の改善策導入を支援した一定の条件を満たす事業者(税理士・会計士・コンサル・金融機関)を経済産業省が認定する制度を言います。
②特別融資枠の有利な融資の条件
日本政策金融公庫は“中小企業経営力活力資金”という“認定支援機関”の指導を前提とする低利の商品を用意しています。指導とは“認定支援機関”の協力の元で事業計画を立案して、融資後も引き続きフォローすることを言います。20百万円までは無担保無保証で、これを超える資金を要する場合には、民間の金融機関からも不足分を調達します。事業内容・代表者の職歴・設備投資額・自己資金・想定される顧客層等々によって融資条件は変わります。
“中小企業経営力活力資金”による融資事例は、10年返済で20百万円を1.5%で調達できました。これは、民間の金融機関の提示金利が2.4%でしたので、10年間で約90万円の金利負担の圧縮が図れたことを示します。
このような日本政策金融公庫との関係構築は、当職が金融機関出身であり、金融機関が求めている事業採算性を示し、事業リスクをきちっと把握してその解決策を事業計画書に表すことで、角度の高いものとしているから他なりません。
③協調融資
協調融資とは、複数の金融機関から同時に融資を引き出すことで、金融機関間の調整が行われていることが前提となります。当職は、日本政策金融公庫との間で長年に渡り融資申し込みを通じて信頼関係が深まっているので、協調融資の実例もあります。上記の“中小企業経営力活力資金”で20百万円の無担保無保証を、民間の金融機関からやはり無担保無保証でⅠ0百万円の調達に成功して、スケルトンの建物に店舗内装工事の資金を充てることができました。
開業のための7つの必要事項
①事業コンセプト
お店のコンセプト、主要顧客層、立地、商品構成、販売方法、価格帯、客席数、店舗面積等を詳細に決定します。お店の方向性をきちっと決定し、その方向性に従って事業内容を詰めていきます。
②物件の決定
駅から徒歩5分程度の立地、住宅地内の立地、地上1階の店舗、地上2階以上の空中店舗等の立地条件を選択します。店舗の選定は、売上への影響が非常に大きいので、家賃予算も併せて検討します。
また、物件選考は、料理飲食店に強い不動産業者へ委託することも必要です。特に、地場の不動産会社は、細かな情報を有していることが多いので、協力を得ましょう。
③事業計画書
月単位の損益計画書を最低2年分作成するお手伝いをします。売上高・仕入高・人件費・地代家賃・水道光熱費・通信費・リース料・塵芥費を見積り積算します。開店時の購入物品一覧、従業員の採用費、店舗の敷金や仲介手数料、開店時に用意するショップカードやHP等の広告宣伝ツール等の初期費用を試算し、損益分岐点売上と最低客数を算出します。
事業計画書の雛形は、経営者の方にも金融機関にも解り易いものが求められます。細かなノウハウですが、数値データの精緻さと見易いフォームが訴求力となります。
事業計画書の良否が金融機関からの融資の決め手となります
④資金調達
自己資金は店舗の規模に応じて増減しますが、最低3百万円を必要とします。自己資金とは、自分の貯えと親族からの支援資金(返済期限の定めのない資金)との合計額です。これに金融機関からの借入資金を加えて10百万円~50百万円で開業資金とします。金融機関からの借入金は、設備資金と運転資金に大別されます。基本的に現金商売ですので、当初の仕入資金を除くとカード決済が開始されるまで運転資金は、1ケ月分の仕入代金に限定されます。借入期間も設備資金より短いので、運転資金は自己資金で賄い、設備資金を金融機関から調達する方法が一般的です。
⑤費用を極力抑えた集客策
飲食店の顧客は、リピーター7割・新規顧客3割が理想とされます。開店当初は当然新規顧客10割ですので、1年目は新規顧客開拓の営業ツールの充足を図ります。
料理飲食業の集客は、ぐるなびや食べログに代表されるサイトの利用が一般的です。ただ、画像データやテキストデータの品質は決して高くないので、ショップカードや自社HPのような広告宣伝ツールを制作する必要があります。全ての広告宣伝ツールを一度に用意することは困難ですので、売上高に応じて順次揃えていきます。
SNSは、コスト負担がなく画像データで情報を伝えることができるツールです。継続して情報発信する必要しないと閲覧者は最新情報を追いかけるので2日程度でアクセスが逓減します。その意味で定期的に画像データを制作することがポイントです。
⑥リスクマネジメント
店内での転倒事故、食中毒による営業停止等、事業活動で想定外の事態に備える必要があります。全てのリスクを損害保険でカバーするとコスト増となります。損害保険のプロが予算に合う商品を設計します。
⑦Airレジの有効活用
タダより高いものはないとAirレジの採用に躊躇する方も多いかと思います。導入した後に、一定期間経過後に利用料の請求が来るのではないかと。リクルートが、Airレジの利用を無料で開放している理由は、ユーザーから得られる膨大な取引記録を収集できる点にあります。売上データと個人情報とを結びつけるものはないので、あくまで取引データに過ぎず、プライバシーの侵害には当たりません。この膨大なデータを整理したものはビッグデータとして調査会社に高く販売できます。そのためには、1件でも多くのユーザーに使用してもらう必要があり、機能向上も操作性の向上も活発に行われるでしょう。勿論、無料ソフトですので多様なニーズに応えることは難しいです。
業態別の原価率について
料理飲食業は、業態別の原価率は統計データとして公表されています。しかしながら、立地、商品構成、顧客層によって平均値と呼ばれる値から大きく乖離するケースが散見されます。つまり、最適な原価率はお店ごとに異なります。
料理の原価率を引き下げることは難しいので、飲料の売価を引き上げて利益を確保するお店があります。飲料の売価は、意外に比較しやすいので店の評判を落とすことに繋がります。
一方、料理の原価率にある程度目をつぶって、来客数を確保しようとするお店もあります。原価率の引き上げに踏み切ることは勇気がいることですが、お客の立場で見ると無理していることも見えるものです。その心意気からお店を応援しようという空気も不思議と生まれます。
料理飲食業における広告宣伝について
①ぐるめサイトのメリットとデメリット
料理飲食業の広告宣伝の特徴は、ぐるナビや食べログを代表とするぐるめサイトが挙げられます。従来からの月額1万円の低価格帯は用意されていますが、上位掲載のコストは年々上昇しています。お客様は、ぐるめサイトをお店の電話番号を確認する目的で使用するケースも多いようです。その意味では一定の認知度があるお店は、上位掲載を目的として大きなコストを掛ける必要はないように考えます。
②ぐるめサイトとHPとの有機的な連携
ぐるめサイトは、写真やテキスト情報の品質がけっして高くないので、お店の情報は、独自のHPできちっと伝える必要があります。また、手軽に情報発信できるFBは、今後有力な情報ツールとなります。ただ、時間の経過とともに情報が埋もれるため、HPとの併用は必須と言えます。
③広告宣伝費の変動費化
売上を増進させる広告宣伝費は、売上の増減効果に応じて加減すべき経費(=変動費)です。ところが、ぐるめサイトの掲載料やHP維持費は毎月固定で、売上が減少しても削減できないのが実情です。ショップカードや名刺の印刷を含めて、広告宣伝活動の委託先を1社に絞り、年間予算を提示してその範囲内での広告宣伝活動を実施し、同時に効果測定も委託すると効率化が図れます。当事務所の専門家集団の中に、デザイナー氏がおり、彼らと一緒に増収対策を纏められているお客様がおられます。