1. 産業用太陽光発電とは
●産業用太陽光発電は、平成24年7月1日から全量買取制度(FIT制度)に移行しました。1kw/h当りの買取価格は20年間固定で、平成25年以降毎年逓減して令和2年度は21円となっています。
●ソーラーパネルの寿命は20~30年、パワーコンディショナーは10~15年と言われています。これらの年数を過ぎると機器の故障率が上昇します。パネル材料によって劣化率が異なりますので専門家の指示に従うことをお奨めします。(法定耐用年数17年)
●設備価格は平成23年は1kw/h当り50万円でしたが、現在は25万円程度まで値下がりしており、投資環境も大きく変化しています。
2. 土地付き太陽光発電設備への投資
●最低都市単位は、土地代を含めて概ね150万円からです。
●投資利回りは、広告を見る限りでは10%を超える物件が目立ちますが、装置の遠隔監視等のランニングコストや悪天候による稼働率低下を差し引くと7%程度ではないでしょうか。
●節税目的で投資する事業者の方々も多いでしょう。ただ、目先の利益に捉われず、長期的な視点での投資を決定しましょう。
●設置場所は、日照時間が長いところが断然有利ですが、台風や梅雨による日照時間の短縮の結果、日本全国を見渡すと意外に大きな差は出ません。北海道や南九州での発電設備の投資が目立ちますが、土地の価格の安さから引き合いが多い模様です。
3. 50kw未満の低圧連系太陽光発電
●産業用太陽光発電は、10kw~100kw未満のミドルソーラーが中心です。特に50kw未満は低圧での系統連系が可能で、高圧連系に比して経費負担が少なくなるメリットがあります。
●高圧連系は、キュービクル式高圧受電設備が必要で、初期費用で100~500万円を要し、保守費用も発生します。
●自家消費目的ではなく投資目的で設置する場合は、100kw程度のシステムは50kw未満に分割して設置する事例が多いです。
4. 建設業者の選考について
●建設業者の選考は、業歴(最低10年)・資本金・施工事例・代表者及び役員の経歴・従業員数・企業理念等の様々な角度から検討します。
●工事完成後は、管理業者に保守を委託します。
5. 損害保険でカバーするリスク
●機械装置に係る保険は、次の障害に対して補償します。
①火災・落雷・破裂・爆発
②一定の被害額以上の風災・雹災・雪災
③外部からの物体の飛来・衝突・接触による損害
④騒擾・労働争議による破壊
⑤給排水設備からの漏水による損害
⑥水害
⑦盗難により機械装置に損害が発生した場合に保険金額を上限とした補償
●売電収入に対する保険は、次の損害に対して補償します。
①上記①~⑥までの損害
②盗難により機械装置に損害が発生し、売電収入が得られない場合に保険金額を上限として補償
●損害保険でカバーできない損害は次の通りです。
①電気的または機械的な事故(メーカー補償によります)
②効能不発揮による発電量の低下
6. 機械装置の補償期間
●太陽光パネルは、メーカー補償期間は25年です。
●パワーコンディショナーは補償期間が10年で、その後は基盤だけを約60~100万円で交換します。キュービクルも20万円程度の部品交換で使用期間を延長することができます。
7. 固定価格買取期間の終了後の20年目以降
●20年後の予定は全く見えません。政府が2030年までの達成目標とする太陽光発電のコストは7円/kwhと火力発電より低コストです。安価な電力を仕入したい電力会社は、太陽光発電による電力を買い取り続けるでしょう。ただ、その時点で売電収支がマイナスとなる可能性はあります。
●このスキームは、20年以内で投資資金を回収できる計画づくりが肝要です。
8. 中古市場
●太陽光発電設備も中古市場が出来上がっています。上場企業が建設したメガソーラーを初めとして、ミドルソーラーも一部で売却が行われています。
●転売目的は、投下資本の回収・多角化した事業の縮小
●住宅や乗用車のように市場は大きくないので、中古物件の購入は慎重に物件選定を行う必要があります。
9. 土地付き太陽光発電設備の留意事項
●土地付き太陽光発電設備への投資は、建売住宅の購入と類似しています。
①パネルは基本的にメーカーを指定できません。
②立地条件によって建設コストが変わります。同一地点で相見積もりは取れませんので、業者選考を優先する場合には建設場所の優先順位が下がります。
③施工会社によって建設コストが大きく異なる問題点が指摘されています。そのため複数の施行会社の見積を取り業者比較を行います。