少額投資非課税制度とは?

2014年1月から導入される制度で、年間1百万円までの有価証券売買益や配当に係る所得税を非課税とするもので、申込は10月1日からです。
英国の少額投資優遇制度ISAの日本版として“NISA”という愛称が付きました。
これまで20%の所得税率を10%に軽減されてきましたが、この廃止に代わるものですが、非課税扱いを受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

①    金融機関か証券会社に1つの非課税口座を開設すること
②    口座開設する年の1月1日現在20歳以上で国内居住者であること
③    非課税対象は、非課税口座で購入した上場株式・株式投資信託・上場不動産投信(J-REIT)・ETF
④    公社債・公社債投資信託(MMF・MRF)は投資対象外
⑤    非課税期間は最長5年間
⑥    既に保有している有価証券を非課税口座に移動できない
⑦    従来の特定口座と非課税口座とで損益通算はできない

どのような投資スタンスに向くか

少額投資非課税制度は、次のような投資スタンスには向きません。
①    売買を頻繁に行うケース
②    毎月定額購入するような積立金方式(ドルコスト平均法)
③    毎月分配型の投資信託の投資を選好されるケース

売却益が出るまでじっくり長期保有する銘柄を非課税口座で運用するのが望ましいです。従来の特定口座と目的を分けて投資することが肝要かと考えます。上手に利用しないとかえって不利となる場合があります。

投資金額の上限はいくらか

年間の新規投資金額の上限は1百万円です。毎年1百万円ずつ投資すれば最大5百万円の投資枠となります。
個別株式を投資対象とすると初年度の1百万円だけでは銘柄が限定されますが、2年目以降は選択肢がぐっと増えます。

どの程度の節税効果があるのか

1百万円を投資して配当利回りが3%と仮定すると、配当金は年3万円でこれに係る所得税は¥6,126です。
株価が15%上昇した場合には売却益が15万円で所得税は¥30,630となります。目論見通り値上りした場合の節税効果は、決して小さくありません。
5年後には投資額が5百万円まで増額できますので、節税効果は理論上年を追うごとに大きくなります。

確定申告は必要ないのか

非課税口座を開設した証券会社または銀行から口座開設の申込があったことを税務署へ提出します。従って、確定申告の必要はありません。

非課税期間の5年経過後は?

5年経過すると、特定口座や一般口座へ口座移管することができますので売却処分する必要はありません。
また、1百万円を上限に再度非課税口座への移管することも可能です。従って、当初投資する銘柄のうち、6年以上保有する可能性がある場合には、1百万円以下で投資することをお奨めします。
この制度は、現時点では10年間の時限措置であることもご留意下さい。

銀行と証券会社のどちらが良いか

上場株式の取り次ぎを行っていない銀行もあるので、証券会社の方が取扱銘柄数も多く、利便性は高いです。
ネットによる口座管理が苦にならない場合には、ネット証券の方が口座管理料は安価です。
口座開設後4年間は、他の証券会社へ変更できませんので慎重に証券会社を選んで下さい。


NISAの利用ポイント

投資経験が豊富な方は、従前の特定口座や一般口座と使い分けされることが肝要です。
売却損益を相殺できない点が投資の足かせとならないよう銘柄選定もポイントとなります。