昨年12月30日に発表された2015年度税制改正大綱で、運用成績に応じて将来の受取額が変動する“確定拠出年金(日本版401K)”の大幅な制度改正が盛り込まれました。

<税制改正大綱のポイント>
●中小企業の場合、会社が個人型確定拠出年金(以下「DC」)に掛金を拠出することができます。会社掛金は損金となり、個人の所得とはみなしません。
→退職金の一部を毎月経費処理することが可能となります。
●個人型DCに加入できる対象者として、企業型DC加入者・企業年金のある会社員・公務員・専業主婦まで拡充します。
●会社の制度変更に基づくDC、確定給付企業年金、中小企業退職共済間での年金資産の引き継ぎを可能とします。

<確定拠出年金の税務上のメリットとデメリット>
●年金資産の運用益は、所得税が課税されません。
●個人が負担する毎月の拠出金は、全額所得控除の適用を受けます。
→奥さんの掛金は、年末調整で生命保険料控除と同様に、掛金支払証明書を添付することによって所得控除を受けます。
●将来一時金として受け取る場合には退職金として受給し、退職所得として税額を算出します。分割して年金として受け取る場合には、公的年金と加算して公的年金控除の適用を受けます。
●60歳までは解約や換金化ができません。超長期資金かつ余裕資金を掛金として拠出して下さい。
●毎月数百円の手数料がかかります。定期預金で運用した場合には、収入より費用が上回ります。

<拠出金の上限>
掛金上限は高額ではありませんが、長期投資ですので無理なく運用できる水準かと考えます。
●自営業者        月額68,000円 年額816,000円
●会社型DCのある会社員  月額20,000円 年額240,000円
●企業年金のない会社員  月額23,000円 年額276,000円
●企業年金のある会社員  月額12,000円 年額144,000円
●公務員         月額12,000円 年額144,000円
●専業主婦(3号被保険者)月額23,000円 年額276,000円

<適用開始時期>
確定拠出年金法の改正や金融システムの変更を行う必要がありますので、早くても年内開始、場合によっては来年度から適用にずれ込む可能性もあります。

確定拠出年金