コロナ禍で税務署の調査官は、交代で自宅勤務を強いられ、税務調査の実施件数は激減しました。国税庁は令和3年6月までの1年間の法人税実地調査は、前年対比で7割減の約2万5千件であったと発表しました。統計を始めた1967年度以降で最少となりました。件数は大幅減少しましたが、大口で悪質な不正が想定される法人を重点的に調査した結果、1件あたりの申告漏れと追徴税額は前年度の2倍を上回りました。無申告法人に対する調査では、インターネットを積極的に活用し、ネット上の口コミ情報を収集して不正の発見に繋げました。無申告法人に対する追徴税額は、統計を開始した11年度以降で過去最高となりました。

さて、日本の国税庁の調査能力は世界一であるとも言われております。また、税務調査の目的の一つである納税意識の啓蒙も、当局の高い補税率によって浸透してきたと思われます。コロナ禍での悪質な納税者への徹底した調査姿勢は、継続するものと推察されます。一方では、ZOOM等によるオンライン調査も準備されている模様で、税務調査の方法も大きな曲がり角に来ました。