預貯金を相続する際に、亡くなった方のお誕生からご逝去までの戸籍を金融機関に提示します。これは相続人にもれがないかを確定するための作業ですが、ご親族様がご存知なかった様々な事実が発見されることもあります。

①4件に1件は養子縁組
昭和初期は家督相続を目的とする養子縁組が多く、4件に1件の割合で見られます。実は、当職も父方は遡ると高橋家から曽我家へ養子縁組しており、母方も祖父が松島家から津田家へ養子に出ました。父方の先祖はどのような理由で養子縁組したかをきちっと知っておきたいです。

②死後80年で戸籍は消滅します
戸籍は死後80年で登録抹消されます。家系図を作ろうとお考えの方は、早めに着手されることをお奨めします。当職も親族を代表して家系図を作成することを宣言しましたが、仕事にかまけて手付かずです。
戸籍の入手方法は、家系図作成目的である旨を申請書に明記して、郵送で交付を受けることができます。申請用紙と発行手数料は地方自治体で異なりますので、必ずHPで確認の上申請書を作成して下さい。発行手数料は郵便局で定額小為替を購入して申請書に同封します。

③戸籍に樺太・台湾・満州の地名が記載されている
現在80歳を超える方々で、ご尊父様が教員として旧制中等学校に勤務されていた場合に、旧外地(樺太・満州・朝鮮・台湾・南方)の住所が記されているケースがあり、
これまで2例見ることができました。当時の教員の方々は3~6年で赴任地を移動されていたようです。

④戸籍に空白期間があります
東京空襲により現在の墨田区、江東区の戸籍が焼失しているケースがあります。この場合、区役所から戸籍焼失証明書の交付を受けてお誕生からご逝去までの戸籍を繋げます。

⑤二女と三女の誕生の順序が逆転?
戦前に海外で生まれた二女の届出を領事館へ提出しましたが、事務処理ミスにより戸籍へ記載されず、帰国後に誕生した三女が先に戸籍へ登録されました。その結果、日本で生まれた三女が二女として、海外生まれの二女が三女として記載されました。その後、ご親族のどなたからも戸籍の修正の申し出が行われずに放置されました。
ちなみに、戸籍の訂正は、家庭裁判所へ訂正の申立を行い、審判結果を市役所へ提出して戸籍の記載事項を訂正します。

⑥顔も見たことがない異父母兄弟が古い戸籍から発見された
先妻の子供を戸籍で発見するケースがごく稀にあります。当職が担当させていただいた案件では、誕生直後に亡くなっており幸いにして相続で争議にはなりませんでした。当職は未経験ですが、前夫の子供の存在が相続時に発覚したという事例もあったことを耳にしました。

家系図作成