金融政策に伴う不動産市場への資金流入

将来の予測はできないまでも、インフレに備えた株価投資があるように、不動産価格高騰というインフレに備えた不動産投資とはどういったものかを考えると日本ならではの投資が見えてきます。
そもそも不動産投資とは長期保有を前提に利回りを狙うもので、そのリターンの多寡は一にも二にも投資タイミングが全て。勿論、市況動向は言うまでもないことですが、株式投資とは異なり、ゆったりとしたサイクルを持つのもその特徴です。しかし、今回のような金融政策の変更などから、大量のお金が不動産市場に流れたりする場合は(資本市場の変化)、このサイクルが崩れてボラティリティが高まり、場合によっては一本調子で80年代のようなバブルを形成しがちです。(島国日本はマーケットが小さいこともその理由のひとつ)

地方での高利回り物件がポイント

2008年リーマンショック以降の欧州で起きた不動産バブルは記憶に新しいでしょう。しかし、金融緩和がもたらすバブルの寿命も短い事は明らかで、やがては実体経済に収束してきます。この期間は実物不動産市場の価格変動サイクルからすればごくごく短いものです。つまり、価格急騰場面であっても、利回りの高い物件を持っていることがインフレに備えた不動産投資手法であることは間違いないでしょう。
今のうちに、買い手の少ない地方での高利回り物件を抑えておく事がインフレに備えた投資策と考えられます。
なぜか?
① 更なる不動産価格上昇が続くようなら、物件価格の上昇が(日本ならではの地方に波及する)見込める事。
② 都内を中心としたミニバブルが実体経済に収束してくるようなら(価格下落)、抑えた物件の利回りが上昇する。

いずれに市場が動いてもリスクヘッジというより、収益を生む可能性は高いでしょう。都内の新築不動産販売はここ数か月、絶好調。特に高額物件は飛ぶように売れています。メディアでも「今買っておかないと、そのうち手が届かない状況になるので」と購入者コメントを流していまた。ところが、中古物件はそれほど動いていません。理由は市場参加者の属性にあります。新築物件はいわば消費者(素人)ですが、中古物件はプロ(業者)が多いのです。つまり、プロの不動産投資家は割とアベノミクスに慎重のようです。

Kaneco Consulting Firm
代表: 金子 丈次郎
国内外金融機関で営業管理職を経験し、米国ヘッジファンド会社勤務を経てリーマンショック後の2009年にコンサルタントとして独立。
現在は、現場に密着した営業コンサルタントを中心に活動を行い、また、経済セミナーや経営セミナー講師として各地に赴いている。