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FX・株式投資の確定申告で節税するための5つのポイント

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所得税法上のFX取引

(1)概要

FX取引(外国為替証拠金取引)とは、資産の譲渡ではなく支払手段の交換に該当します。所得税は収入を10個に分類しており、FX取引は“雑所得”として取り扱われます。“雑所得”とは、収入から経費を控除した金額をいい、FX取引に係る経費は、通信費・情報収集費用・情報端末費用が該当します。

(2)損益通算と損失の3年間繰越控除

仮に、年間収支がマイナスとなった場合、日経225先物取引や日経225オプション取引による利益との損益通算は可能です。また損失額がなくなるまで最大3年間の損失の繰越もできます。損益通算や損失の繰越控除の適用は、確定申告を要件とします。

(3)源泉分離課税制度

国内の証券会社との取引は、売買益から証券会社が所得税を控除する“源泉分離課税”(税率:所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%)が適用されます。証券会社が投資家に代わって“雑所得”に関する情報を国税庁へ提出することによって課税関係が完了し、投資家としての手間が省けます。また、利益の多寡に関わらず税率は一定ですので、年間900万円を超える利益を捻出できる投資家にとって非常に有利な制度と言えます。

(4)海外の証券会社との取引

海外の証券会社との取引は、彼らに日本の税務当局への報告が行われないため“源泉分離課税”の適用はなく、確定申告によって税額を計算する必要があります。国内証券会社取引がプラスで海外証券会社取引がマイナスであった場合でも、損益通算を行うことができます。

所得税法上の上場株式取引

(1)概要

国内外の“上場株式等”の売買取引は、資産の譲渡に該当し“譲渡所得”として取り扱われます。株式指数先物取引や株式指数オプション取引は、数値データの取引で有価証券ではないので“雑所得”に分類されます。

(2)“上場株式等”とは

株式や新株予約権付社債等のうち、上場されているもの及び公募株式投資信託等をいい、金融商品取引業者への売委託等によって売却したものが該当します。

上場株式(新株予約権等を含む)
ETF(株価指数連動型上場投信信託等)
ETN(上場投資証券)
J-REIT(上場不動産投資信託)
上場新株予約権付社債
カントリーファンド
日銀出資証券
上場優先出資証券
外国有価証券市場で売買されている株式等
公募株式投資信託の受益権

(3)譲渡損益と配当金の源泉分離課税制度

“特定口座取引(証券会社が年間の譲渡損益を計算する制度)”で源泉徴収口座を選択した場合には、その口座内における年間取引の譲渡損益と配当等については、原則として確定申告は不要です。

(4)“上場株式等”の売買益

有価証券の売買益とは、譲渡金額から取得費用と売買委託手数料とを控除した金額です。譲渡費用にはPC等に係る費用や情報収集のための経費は含まれません。

(5)譲渡損益の損益通算

“上場株式等”に係る譲渡損失は、確定申告によりその年分の“上場株式等”に係る配当所得(分離課税を選択したものに限ります)と損益通算することができます。また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額は、翌年以降3年間に渡り、確定申告により株式等に係る譲渡所得等の金額及び“上場株式等”の配当所得の金額から繰越控除することができます。

なお、特定口座内で損益通算された配当金・分配金は、配当控除の適用を受けることができません。

(6)複数の特定口座の損益通算

複数の証券会社で開設した特定口座がそれぞれ譲渡益と譲渡損であった場合には、確定申告により損益通算することができます。

(7)配当金の総合課税の選択適用

源泉徴収ありの特定口座で入金された“上場株式等”の配当金は、配当控除の適用を受けるために総合課税により確定申告することができます。毎年、総合課税と分離課税の選択適用することができます。

投資金額の上限はいくらか

年間の新規投資金額の上限は百万円です。毎年百万円ずつ投資すれば最大5百万円の投資枠となります。個別株式を投資対象とすると初年度の百万円だけでは銘柄が限定されますが、2年目以降は選択肢がぐっと増えます。

“上場株式等”の譲渡益を譲渡所得に代えて“事業所得”や“雑所得”として申告することができる場合

(1)“事業所得”又は“雑所得”に区分される場合

“上場株式等”の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、“事業所得”又は“雑所得”として申告できますが、信用取引等の方法による“上場株式等”の譲渡で、所有期間が1年以内の譲渡による所得も、“事業所得”又は“雑所得”として申告することができる旨の規定(措法第37条の10第5項)も用意されています。

(2)“事業所得”又は“雑所得”として申告する場合の留意事項

信用取引も特定口座での取引が可能です。取引の記録を正確に把握するため、“事業所得”でも特定口座を活用しましょう。“事業所得”を構成するものは有価証券の譲渡損益で、配当や利息はそれぞれ配当所得と利子所得として申告します。

(3)事業経費として計上できる経費

有価証券取引に係る経費とは、通信費・情報収集費用・新聞図書費・セミナー参加費等に限定されます。自家用車に係る費用は、セミナー参加時の交通機関としての費用程度しか計上できません。

2016年の証券税制改正

(1)“特定公社債等”とは

国債・地方債・外国国債・外国地方債・公募公社債・上場公社債などの特定の公社債を“特定公社債等”、公募公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託・公募社債的受益権を“公募公社債投資信託等”と称し、これらを総称するが“特定公社債等”下記の通り改正されます。

(2)“特定公社債等”の税制改正ポイント

2016年1月から次の通り改正されます。

“特定公社債等”の譲渡益は非課税でしたが、上場株式等と同様に20.315%の税金が課されます。また、償還差益は“雑所得”として総合課税でしたが、譲渡所得(20.315%)の分離課税に一本化されます。割引債の償還差益は、18.378%の源泉分離課税から上場株式等に統一されます。

“特定公社債等”は“特定口座”での購入が可能となり、上場株式等との損益通算できます。また、“特定公社債等”の利息等は上場株式等の譲渡益との損益通算ができます。今回の税制改正により、有価証券の税制が統一されます。

(3)2016年1月までに行うべき対策

国債・公社債・公社債投資信託で含み益がある場合には、年内に売却して換金化した方が良いです。特に、外貨建国債や社債、外貨建公社債投資信託は、為替評価益により含み益を抱えているものが多いでしょうから早めに手続を開始することをお奨めします。また、公社債投資信託と株式投資信託との区分は、目論見書で確認せざるを得ませんので、購入した証券会社のHPで個々の銘柄ごとにどちらに該当するか確認する必要があります。債券を投資対象とする投資信託であっても、商品設計の柔軟性の観点から株式投資信託として登録されているケースが圧倒的に多いのが実情です。

一方、国債・公社債・公社債投資信託で含み損がある場合には、税制改正後に換金するか償還まで待って換金し、上場株式等の譲渡益と損益通算して節税します。一般に、国債や公社債は発行価格で償還されるので、含み損は気にする必要はありません。

取引タイプ別の最適な課税方法

投資タイプによって処理方法が異なりますので、どのタイプに当てはまるかを熟考の上、いずれかを選択して下さい。1年経過して12月時点で、次年度どうすればよいか検討しましょう。

(1)20%の源泉分離課税を選択することが有利な方

確定申告手続が面倒な方
毎年FX取引による利益が10百万円を超える方
サイドビジネスとしてFX取引を行っていることを勤務先に知られたくない方

(2)確定申告を行うことが有利な方

FX取引による利益が10百万円未満で、領収書等を整理して少しでも税金を圧縮したい方

(3)法人を開設した方が個人より有利となる場合

5年を目途にFX取引専業から別の事業を立ち上げる計画である場合
FX取引に加えて、株式取引や不動産投資を行う方

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