冬の味覚の代表格である「トラフグ」といえば、能登・七尾湾・若狭湾・関門海峡・福岡湾・有明海・八代海・瀬戸・伊勢湾・三河湾が主たる漁場で西日本の魚の印象が強いです。東京・神奈川・千葉の海では全く縁のない魚でした。ところが2003年に三河湾から移動してきたと推察される「トラフグ」が横須賀にて1tを超える水揚げされました。これを契機として2004年より長井町漁協と大楠漁協はトラフグ人工種苗の放流を開始。神奈川県水産技術センターは2006年から種苗放流を継続しています。東京湾でも2006年から始め、これらが自然繁殖に寄与して荒川河口や江戸川河口が産卵場となっている模様です。2003年は1.4tであった漁獲量が2018年には4t程度まで増えており、新しい名産を目指しています。ちなみに日本一の水揚げ量を誇る輪島港は420tにも達するので、産地と名乗るには程遠いですが、地元の「トラフグ」を愉しめる機会は確実に増えています。旬は秋の彼岸から春の彼岸までと呼ばれていますが、漁期は身が締まる11月下旬から3月上旬までです。

さて、鎌倉の阿寓は「相模湾のトラフグ」を取扱う割烹です。まだまだ潤沢な漁獲量がないので、予約が必要となりますが、是非地元の「トラフグ」をご堪能下さい。地元で上がったものはその日に活けジメするので身をきれいに保つことができます。捌いてから3~4日寝かせて熟成させます。

屋  号:鎌倉阿寓

住  所:鎌倉市二階堂93-25

電話番号:0467-25-3299

営業時間:11時半~15時 17時~20時(コロナ禍)

定 休 日:水曜日

バ ス 便:鎌倉駅東口5番乗り場 大塔宮終点

【季節の八寸】 松風焼き・厚焼き玉子・栗の甘露煮・車海老の旨煮・自家製からすみ・いくらの醤油漬け・黒豆・子持ち昆布。左の小鉢は真鱈の白子 ちり酢のせ。右はかに酢です。かに酢がこんなにおいしいものとは初めて感じました。プロの手によると全てが変わります。

【先鋒】相模原市 相模灘 純米酒。

【お椀】 花びら餅。京都のお正月の和菓子をモチーフに海老しんじょうと牛蒡と金時人参とでお餅を演出しています。

【お造り】 佐島のとらふぐ・鎌倉海老・金目鯛・とらふぐの昆布締めのたたき。

【中堅】

【焼き物】 群馬産の牛ももステーキ。吉兆直伝の肉たれの旨さは言葉になりません。

【揚げ物】 真名鰹の柚庵揚げ。

【大将】長岡市 久保田

【煮物】 海老芋・人参・牛蒡・地鶏・慈姑(くわい)・絹さや。優しい味はいつもの通りです。これが日本酒に合うのです。

【お食事】 河豚雑炊。最高のご馳走です。

【デザート①】 紫芋のきんとん。こちらも孫娘の胃袋へ。

【デザート②】 季節のフルーツのゼリー寄せ。

【エピローグ】 冬の長いやさしい陽が射し込みます。一刻も早く穏やかな日々が取り戻せますよう。