甘鯛は、京料理に欠かせない食材の一つです。実際に、漁獲量を見ても山口・長崎・島根・秋田・福岡・福井・新潟と日本海が中心です。京料理の甘鯛は、福井県の若狭のグジは古くから高級食材として有名です。ところで、千葉から駿河湾にかけても一定量は捕獲されており、相模湾でも地魚として水揚げされます。静岡では興津鯛として一夜干ししたものがあります。さて、漁獲量は限定的であることから高級魚の一つに挙げられます。塩焼き・潮汁・甘鯛めし・松笠揚げが旨味を増します。深海に棲み水分が多いため、水揚げされたその日しか刺身にならないのです。日本海のものは夏から秋までが旬とされ、千葉から駿河湾で上がるものは秋から冬が旬とされています。本日の甘鯛は横須賀佐島の地魚ですので、まさに旬の魚です。「鎌倉阿寓」の大将は、東京吉兆で18年修業した京料理人で、甘鯛の料理を得意とします。本日はお椀でいただきます。

屋    号:鎌倉阿寓

住    所:鎌倉市二階堂93-25

電話番号:0467-25-3299

営業時間:11時半~15時 17時~21時

定 休 日:水曜日

バ ス 便:鎌倉駅東口5番乗り場 大塔宮終点

【祝いの八寸】 奥の祝い皿を左上から、バイ貝・松風焼き・厚焼き玉子・子持ち昆布・烏賊の月環・車海老のうま煮・栗の甘露煮。手前の小鉢は左からいくらの醤油づけ 山かけ添え・柿のなます・祝い膳の赤飯 鯛のせ。

【本日のお供】 岩手県二戸市 南部美人 純米吟醸。

【お椀】 甘鯛・蕪・松茸。刺身で食べられる新鮮な甘鯛を一夜干しにし、炙ったものを碗に入れます。肉厚の身は歯応えがしっかりしています。

【お造り】 左下から時計回りで、しょっこ(勘八の子)、カワハギ、炙りカマス、鯵、戻りカツオ、アオリイカ、平目。

【焼き物】 秋茄子と信州サーモンの包み焼。

【煮物】 里芋玉味噌掛け。「玉味噌」とは合わせ味噌で、本練味噌とも呼ばれます。

【ご飯】 鯛茶漬け。お茶漬けは初めていただきます。これも旨い。

【水菓子】 ラフランスのゼリー 南瓜金団。

【自家製の唐墨】 12月下旬から八寸を飾る冬の名物です。

【エピローグ】 「阿寓」とは小さい家を意味します。私にとっては小さな隠れ家です。