今年6月に日本酒と書かれた提灯を掲げるお店が事務所近くに開店しました。ほぼ毎晩のように外から様子を伺って、立ち寄るのを我慢して帰宅するのが日課となっています。能登の蔵元さんをお呼びする会を催すご案内をメールでいただき、喜んで参加しました。7種類の日本酒に合うよう丁寧に用意されたお料理はどれも絶品です。通常の営業時でも日本酒とのペアリングコースがリーズナブルなお値段で用意されております。

屋   号:横浜紅葉坂 日本酒 ふじひら

住   所:横浜市中区花咲3-96

電話番号:050-3313-7391

営業時間:17時半~23時、(土曜日のみ16時~22時)

定休日:日曜日

 ≪蔵元情報

蔵   元:御祖(みおや)酒造株式会社

住   所:石川県羽咋市大町イ8

電話番号:0767-26-2320

HP:http://www.mioya-sake.com

【先鋒】乾杯の日本酒は、“ほまれ・ひやおろし”。冷やと常温とで飲み心地が異なるのを愉しむのも一興です。

【前菜】柿・占地(しめじ)の白和えと秋刀魚甘露煮。柿が酒のあてとなるとは驚きでした。針ラディッシュは味もさることながら料理を惹き立てる役者です。

【お造りの日本酒】“ゆうほのあお”、本来は夏のお酒です。雑味のないすっきりしたのど越し。

【お造り】能登の鯵、魳、鰆。店主は能登の漁師さんと契約して船上神経締め鮮魚を使用しています。少し炙った魳はまさに秋の味、これは堪りません。

【蔵元】店主は藤田美穂さん。的確な説明で、飲み比べも納得感を得られます。ご自身が醸造された酒への強い愛情が旨さを増しています。横浜市内では吉野町の酒店“君嶋屋”で取り扱っています。

【焼き物の日本酒】“遊穂 山おろし 純米ひやおろし”。生詰原酒特有のしっかりした味わいで、肉料理にも負けません。因みに、“遊穂”とは、地元羽咋市で未確認飛行物体の目撃情報が多く、UFOから取ったそうです。命名はともかく味は間違いありません。

【焼き物】能登豚ローストポークのいしるソースかけ。茗荷との相性も良く、カタカナではなく日本料理と化しています。

【煮物の日本酒】“遊穂 純米吟醸 山田錦・美山錦55”。この赤の器でいただく日本酒は、目にも鮮やかで素敵な演出が嬉しいです。

【煮物】里芋と秋茄子の揚げ出し 紅ズワイ蟹餡かけ。揚げた里芋が非常に美味しい逸品です。

【鍋の日本酒】“湯~ほっ。”長期間貯蔵されていたせいでしょうか、薄い琥珀色をしています。地元能登では色の着いた日本酒は変質したものとして嫌われるようですが、奥深い味わいが楽しめます。熱燗することにより豊かな香りとなります。

【鍋】秋鮭とキノコの酒粕味噌鍋。酒粕はもちろん御祖酒造製です。日本酒の会では、準備と片付けに手間がかかるので鍋物は出さないようですが、熱燗が欲しくなる料理を提供していただき思わず顔がほころびます。

【珍味の日本酒】“遊穂 純米”。こちらも熱燗でいただきます。少し酔いが回ったのか猪口が何かを伝えようとしているように見えます。

【珍味】能登産 もみ烏賊あぶり。烏賊のわたが日本酒に本当に合います。

【食事】鍋出汁で雑炊。たかが雑炊と思われるでしょうが、店主の手によると美味しさが無限に広がります。

【デザート】酒粕ガトーショコラ 甘酒ソース。大将の知人のパテイシエによるレシピによります。甘さを抑えたまさに和のスイーツとなっています。日本酒は“遊穂 山おろし純米”です。もはや7種類目なので区別つきません。

【店先の小さな窓】素晴らしい宴も幕を閉じました。料理と日本酒とを組み合わせる力と蔵元との信頼関係が造り上げた素晴らしい食事会でした。