イサキ(伊佐木)は5月から産卵期の6月にかけて美味しい時期となります。イサキとは東京での呼び名で、「班」を古くは「いさ」と発音し、「き」は魚を表すとされ、「斑紋の目立つ魚」を意味します。斑紋が目立つのは小さい時で、岸部近くでよく見かけるサイズから名がついたことが解ります。「イサキ」はオクセイゴ(東北)、イサギ(東京)、クロブタ(神奈川)、コシメタ(静岡)、エサキ(北陸-山陰)、ウズムシ(近畿)、イセギ(高知)、イッサキ(九州)、ハンサコ(大分―宮崎)、ジンキ(宮崎)等の日本各地で呼び名が異なります。調理方法も塩焼き、刺身、タタキ、しゃぶしゃぶ、なめろう、煮付け、フライ、唐揚げ、干物と非常にレパートリーが広いのも特徴です。イサキ好きは、この時期に日本料理屋に出向き、身の厚い刺身を賞味します。こちらのお造りは、地のものを中心とし魚好きの胃袋を鷲掴みにします。

 屋   号:日本料理 鎌倉阿寓

住   所:鎌倉市二階堂93-25

電話番号:0467-25-3299(要予約)

営業時間:11:30~15:00、17:00~22:00

定 休 日:水曜日

【八寸】 左手前から野菜の五月和え、たたきオクラと帆立のみぞれ酢、吉兆仕込みの赤飯。左奥からバイ貝生姜煮、祝玉子焼き、松風焼き、鯛子のゼリー寄せ、車海老。 3つの玉手箱を開ける瞬間は、この上ない心地よさです。まさに祝いの席の幕開けにふさわしいお料理です。

【先鋒】 昼につき2合までと決めています。涼しげな器はまさに初夏ですね。

【お椀】 アイナメ(青森)はこの数年こちらでしかお目にかかりません。ふわふわ感が堪りません。

【お造り】 左奥から時計回りでシマアジのたたき(千葉)、イサキ(小田原)、サゴチ(江の島)、アオリイカ(小坪)、鎌倉エビの卵黄のせ、(小坪)、イシダイ(小田原)。地元で獲れたエビですので、敢えて鎌倉エビと呼びます。

【次鋒】 南部美人(岩手県二戸市)の純米吟醸酒は、刺身を引立てます。

【揚げ物】 稚鮎揚げ。10センチ未満の小さな鮎に一本ずつ金串で波を打たせた形に整えてから焼きます。この時期は禁漁期ですので、岐阜県の養殖ものです。

【煮物】 厚揚げ、カリフラワー、長葱、ほうれん草、赤パプリカ。

【谷中御飯】 谷中生姜がたっぷり入った大人のご飯です。これを酒の肴としてもう1合頼みましょう。

【デザート】 季節のフルーツ梅ジュレ掛け。わらび餅も自家製で、店主ご自慢の一品です。

【エピローグ】 座敷から見える大きな額の向こうに広がる小宇宙は輝いています。心地良いひと時を大切な人と過ごせる場所です。