私たちは多くの時間を会議に費やしています。今回は、無駄な会議を無くすための「ルール」を米国アップル社の元CEOスティーブ・ジョブズ氏から学んでいきたいと思います。マイクロソフトのOfficeのユーザーを対象とした調査結果によると、会社員は週に平均5.6時間も会議に費やしているという結果が出ていました。ほとんど勤務時間1日分です。また、ロンドン スクール オブ エコノミックスの調査では、企業の最高経営執行者たちは週に18時間も会議に費やしているとういうデータ結果がありました。

著名な企業の会議~米国アップル社~

1. 会議を形式張らない定期的なイベントにする
 
アップル社では量より質が重視されています。そのため、会議は形式張らない代わりに、目に見える進捗の報告が週単位で求められています。この「週単位の会議」は、経営者としてビジネスのすべての面を深く理解しておきたかったためのようです。CNNのインタビューで、ジョブズは次のように話しています。「私は(社員たち)私より優れた意思決定するのを期待しています。だから、社員たちにはすべてを知っておいてもらいたいものです。自分の担当部分だけでなく、ビジネスのすべての部分をね。」

2. 会議をできるだけ小さくする

ジョブズ氏は参加者が多すぎる会議を嫌っていました。すべての参加者が会議に貢献すべきであり、ただ座っているだけの人間は不必要だと考えていました。自分自身も含め参加者全員が会議に重要な貢献をすべきだと考えていたのです。

3. 担当者に公的な責任を負わせる

他の企業と同じく、アップル社の会議にも次のステップがあります。会議でアクションリストが作成されると、それぞれのアクション項目の隣りにDRI(Directly responsibie individual:直接責任者) が書き込まれます。タスクに対しての公的責任を負う担当者を決めることで、次の会議までにタスクが確実に達成されるよう、プレッシャーを高めるのです。会議が頻繁に行われ、参加者も少人数だと、タスクに責任を持つ個人にスポットライトが当たり続けます。アップル社にとって、この公的責任制度は、社員にハイレベルのパフォーマンスを出させる方法のひとつとなっています。責任の所在の曖昧さは、プロジェクトの大きな損害を与える要因となり得ます。すべてのタスクについて責任者を明確にしておくことで、会議で決定されたすべてのアクション項目が確実に達成される保証となります。

無駄な会議をなくす3つの秘訣

時間をとられがちな打合せ。会議を効率化するには、次の3つを意識することが大切です。

1. 会議数を減らす

2. 会議時間を短くする

3. 会議内容を濃くする

では、この3つの点を念頭に、無駄な会議をなくすために見直したい5つの質問を考えてみました。

Q1 そもそも打合せは何に向いているのか?

打合せは何のためにするのか。例えばこんな時には、対面か会議で集まった方が前に進みやすくなります。セットアップしようとしているその”会議”の目的は、次のどれに当てはまりますか?

緊急事態への対応

案件に問題が起きたり、システムの不具合があったとき。即座に関係者全員が背景と現状を把握し、責任者が決定事項を承認する必要があるとき。

ブレインストーミング

意見を交換し、議論によってさらに新たなアイデアが生まれる場を持ちたいとき。

解決すべき問題への対策

1人では決めかねる具体的な課題があり、様々な角度や観点から見た上で最良の回答を導き出したいとき。

同意を一気に得たい

メールや立ち話で複数の人に聞いたが、意見が分かれて最終判断がなかなか下すことができないとき。     

それ以外の場合、例えばプロジェクトの進捗状況を周知したいだけ、話し合いは不要な情報共有が目的であれば、次の点を検討してみてはいかがでしょうか。

Q2 打合せをしなかったらどうなるか?

わざわざ大人数が一堂に会するよりも、細切れ時間で個々に募った方が質の良い意見が出る場合もあります。代わりの手段を検討するのは必須ですが、打合せを避けることを目的に、他の方法で何度もやり取りをするのでは本末転倒です。さっと打合せをすることですぐに解決するのであれば、話すことを厭わないようにする方がスムーズな場合もあります。

メールやチャット

相手の席での5〜10分程度の立ち話

EvernoteのビジネスノートやGoogle ドキュメントなど共有フォルダを活用して、隙間時間に確認してコメントを書き込んでもらう

 Q3 その出席者が参加する意味は?

ミーティングには人件費がかかっていることを意識する必要があります。会議室に5人で1時間座れば、当たり前ですが5時間分のリソースがかかることになります。「関係ありそうな人に一応声をかける」よりも、議論に参加して欲しい、専門の意見を聞きたい人に「関連ある部分だけ」出てもらい、上司には議事録を送って後ほど手短に説明することで十分な場合もあるかもしれません。

Q4 会議をうまく進めるコツは?

あらかじめ決めた時間配分や議題(アジェンダ)に出来るだけ集中できる仕組みを用意します。状況や会社によって最適な形は異なりますが、以下にヒントとなる項目をご紹介致します。

■ 目的と背景情報を前もって共有。進め方と各部分にかける時間を書き出して雛形にし、それに沿って進める。

■ ミーティング時間ははじめから1時間とったりせず、デフォルト時間を短めに設定する。また、前のミーティングが終わらず、会議室の外でイライラすることもあります。ですから、ミーティング時間を最初から少し短めに設定しておく(30分のミーティングであれば、25分にしておく)ことで、会議室の入れ替わりがよりスムーズになります。

■ あとで結果だけ伝えれば良い人には会議の存在自体は伝えておきます。ただし、本人が希望する場合は、任意参加とします。

■ 会議中、話が逸れたら2分以内に済むことはその場で解決します。それ以上かかりそうならばメモして一旦横に置き、この点に関わる人だけで別の時間で対応します。

■ 最後にタスクを確認します。

・誰が

・何を

・いつまでに

・どういう形で

Q5 会議の結果は?

順調に打合せが済んだら、決定したことやさらに調べた方が良い点を確認します。次のステップに日時を決めたら、該当日に進捗を確認して、会議したことが無駄に終わらないようにフォローアップをすることも大事です。

まとめ

1. 目的を明確化 「何を達成したいのか?」

2. 最適な手段を考慮 「打合せの必要はあるのか?口頭で話すべきことか、それとも書面での連絡で済むのか?」

3. 誰の意見をもらうべきか検討 「参加してもらうことは、他の作業よりも大切か?聞きたい部分は何か?」

4. 意味のある会議にするための仕組みを設定 「どうしたら集中して結果を出せるか?」

5. 前進できるよう次のプロセスを共有 「誰が何をいつまでにどのように取り組むのか?」

会議が時間泥棒とならないようにするために、これらの点を踏まえてしっかりと会議の準備や調整することで、意味のある有意義な会議運営を行うことが出来るようになります。

文責 株式会社HRラーニング・サーチ 仲本親司