今回は、横浜と小田原で開催しました「人財開発セミナー」の内容をご紹介します。経営者に最も必要な資質の第1位は「決断力」51.8%、第2位「先見性」46.9%、第3位「忍耐力・粘り強さ」29.5%となっています(大同生命「経営者1万人アンケート調査結果【平成24年6月】)。「決断力」は経営者に限らず、誰でも、そして、いつでも必要とされています。その「決断力」の型(タイプ)を4つに分けて、それぞれの型(タイプ)を解説をします。また、「決断力」と「行動力」の関係性や「決断力」をどのように身につけるのか、その方法をご紹介します。
■■ 決断力の4つの「型(タイプ)」とは
前進・実行型
前進・実行型の人は、仕事に強い関心を持ち、結果や成果を重視することに価値を置き、目標を達成することに全力を尽くします。率先垂範し、積極的に新しい課題にも挑戦します。競争心は旺盛で、他人を押し退けてまでも自分の意志を貫きます。一人で仕事をするか、他人を指図して働かせるのを好みます。対人関係は淡白で人の噂話などはあまり好みません。
決断の特徴
- 独立心旺盛で何でも自分で決断する
- 納得すれば即決する
- 選択に無駄がない
- 事実を重視するが、決断力があり、リスクを伴った決定も気にかけない
- 一番効果的な代替案を選択する
直感型
直感型の人は、物事に対して積極的で自分も人もかりたてます。社交的で話好きで常に周囲に活気のある雰囲気を醸し出します。 仕事に対しては情熱的に取り組み、創造的なものを好み、問題解決にも積極的にチャレンジします。
- 決断の特徴
- ひらめきを大切にし、素早く決断をする
- 新しいものや画期的なもの、また、意外性のある観点から決断をする
- 自主的に決断する
- 大胆に物事を決断する
調和型
調和型の人は、人間関係を築くことに関心を持ち、何よりも個人的な関係を大切にします。 周りから見ると物静かでソフト、そして温かく優しい人という感じを受けます。チームワークを重視し、皆の協力の下に仕事を進めていくことを好みますが、リスクは嫌います。何よりも責任を皆で共有することを好み、決断する時も周りの人からの援助を求めます。
決断の特徴
- 周りの人の意見や考えに基づいて決断をするリスクを極力避ける
- 決断に時間がかかる
- ゆっくりと決める
- 決定がどのような影響を及ぼすのか考える
分析型
分析型の人は、目標に向かって着実にすすんでいくことに高い価値を置きます。行動は常に冷静で落ち着きがあり、几帳面でもの静かですが、独立心は強く持っています。仕事は、論理的・体系的にすすめ、情報やデータの収集分析を徹底的に行い、最も効果的でリスクが最小の方法を検討します。対人関係はビジネスライクで感情を表に表しません。物事の決定にあたっては正確性や確実性を常に念頭において行います。
決断の特徴
- 決断にはじっくり時間をかける
- 事実やデータに基づいて判断し、決断をする
- 論理的に物事を決定する リ
- スクは負わない
- 第3者の保証を求める
■■ 「決断力」と「行動力」は相関関係
「決断力」とは、現時点で最善と思われる案をいち早く決めるスキルであり、目標達成するまでの持続する力と考えます。また、決断したことを守り続ける心の勁(つよ)さが大切となります。そして、「決断」するだけでは、当然のことながら意味がありません。それを「行動」に移してはじめてそのゴール(目的)に達成することができます。「決断」の遅い人と速い人の「行動」の関係性は次のようになっているます(必ずしもすべてがこの限りではありません)。
■■ 「決断」できる人の特徴
「決断」をするときに、ときとして迷うことがあります。 ”迷う”とは、自分の中に明確な判断基準が無く、価値観が不明確のため起こる現象 です。ですから、まずは自分自身の価値観や会社の経営理念を再認識することから 始めてみることが大事となります。
「決断」が出来る人の特徴を以下に紹介します。
- 自分の価値が明確になっている
- 優先順位を明確にしている
- 情報収集の大切さを知っている
- タイムリミットを守ることができる
- 数値を使って物事を定量化し、判断材料にすることができる
- 参謀の意見に耳を傾けることができる
■■ いかにして、「決断力」を身につけるか
「決断力」を身につけるには、決断する「目的」を明確にする必要があります。 ー何のために決断をするのか?ー このことの”解”を求めるには『正しい問い』を立てなくてはなりません。その『問い』の例として次の ような『問い』が挙げられます。
- 自分(自社)は本当は何がしたいのか?
- どういう姿や状態になることを望んでいるのか?
- 最も優先すべきことは何なのか?
次に、その「決断力」の構造(下図)を理解する必要があります。 まずは土台は、人生哲学や人間観、企業であれば経営理念です。そして、その上に自分の価値観や考え方、決断のパター ンがあり、それらに基づいて決断をするための準備が「決断」の土台を構成しています。次に「決断力」を支える3つの 柱があります。この柱は「クオリティ(決断の質)」と「スピード(決断の速さ)」、そして、「プロセス(決断の過程) という素材できています。これが「決断力の3要素」です。
■■ 「決断力」の3要素 〜クオリティ〜
「決断力」の3要素の1つ目の柱は、「決断」のクオリティです。この「決断」のクオリティ(質)を高めるためには以下の7つの項目があります。
- 「正しい問い」を立てる
- 過去の事例を参考にする
- 選択肢を複数持つ
- 参謀の意見を聞く
- 意見は聴いても、決断は自分で下す
- 「今は決断しない」という選択肢も持っておく 最も大切なのは、誰が責任を持って実行するのか?を決めておく
■■ 「決断力」の3要素 〜スピード〜
「決断力」の3つ目の柱は、「決断」のプロセスです。つまり、この「決断」の過程をしっかりと知ることです。 そのプロセス(過程)とは、
- 事実を数字で把握する
- 望む結果を明確にする
- 望む結果を得る方法を複数考える
- メリットとデメリットを検証し、最善の策を選択する
- リスクを評価し、負えないリスクは冒さない
- 参謀の意見を聴き、必要に応じて案を改善する
- 改善し決断したことを、遅滞なく実行する
以上の7つの項目となります。
決断をするにあたって、目指す目的や姿に到達すべく、現時点においての最善な策を明確な判断基準のもとに速やかに決断をする。また、その決断が独り善がりのものでないように、参謀の意見にも耳を傾けることも大事です。皆様が経営の場面のみならず、様々な場面で最善な決断をする際のご参考になればと思います。
文責 株式会社HRラーニング・サーチ 仲本親司