東芝のパソコン事業を富士通やソニーと統合する検討に入ったという報道は、NECがレノボに売却した時と同様の衝撃を受けました。

90年代までに電機メーカーに就職した方は、何らかの形でパソコン事業に関わっていたと思われます。ご存知である方は少ないと思いますが、カシオもビジネス用の16ビットPCとゲーム用PCを取り扱っていました。

仮に経営統合が成立した場合には、新たな1兆円企業の誕生となります。ビジネスユースでは米国製が優位となっていましたので、日本勢の巻き返しを期待したいです。

 NECの98シリーズに代表される16ビット機が登場した80年代は、電機メーカーが挙ってパソコン市場に参入しました。鮮明な記憶として残っている企業は、後に東芝に吸収されたベンチャー企業のソードです。PIPSという簡易言語で市場を席巻したものの、IBMを初めとするハードウエアメーカーからのソフト供給を拒否し、部品調達に失敗したことを契機に経営悪化しました。仮に、同業他社を巻き込みオープンが行われていたならば、市場は大きく変わっていたことでしょう。ヤフー前社長の井上正博氏やスカイマーク前社長の西久保慎一氏を輩出した“侍の集団”でもあり、カシオ入社年度のビジネスシヨウの説明員として駆り出された際に、隣の巨大なブースがソードで、その勢いに圧倒されたものでした。

98の互換機を引っ提げてエプソンが市場に殴り込みをかけてきたり、世界初のノートパソコンを東芝が開発したり、当時の電機メーカーは独自色を打ち出して一様に元気でした。

日本語対応という大きなハードルがIBMを寄せ付けない環境となっていましたが、日本IBMが自ら開発した5550は瞬く間にシェアを伸ばし、市場占有率はコロコロ続けました。現在も標準仕様となっているページプリンターが1100万円で登場したのもこの頃でした。

 このように技術の進歩が目まぐるしい環境下でいかに生き残るかという術は、現在も通ずる施策が多数あります。

 ①ニッチマーケットでトップを目指す。但し、製品のライフサイクルは10年と区切る。

②きめ細かなサポート体制で顧客をファンに変える

③トップ自ら営業に出向く

④自社の技術力と市場レベルとを比較する

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