(1)同族経営の上場企業
法人の成り立ちを振り返りますと、個人事業の発展系で同族経営でスタートしています。上場企業でも実に53%が同族会社で、知名度が高い意外な会社が同族経営を継続しています。日本は同族会社数が欧米に比して多く、当職も期せずして社会人としてのスタートは同族会社に勤務していました。同族会社のメリットとデメリットとを実体験に則して解説します。
(2)同族会社のメリット
①派閥争いが少ない
構成人員が多いので群れるのは止むを得ませんが、派閥争いは第三者から見ると内向きで無駄なエネルギーの消費です。同族会社でも派閥争いは存在しますが、会社を二分するような大きな争いは、強力なリーダーシップがあれば発生し難いと言えます。
②経営方針が変わらない
リーダーの交代により経営方針はしばしば変わります。同族会社では経営陣が長期政権となるので、大きな変更は行われません。リーダーの変わらぬ声が常に組織の末端まで届くことは、継続性を維持できます。
③企業理念の浸透
常日頃から経営トップから企業理念が発信されます。ともすれば忘れがちな企業理念は、頭から離れることはないほど浸透し、社員全員で共有できる環境です。無意識のうちに企業理念を思い浮かべることは、組織に帰属している以上は大切なことです。
④方向性が見え易いこと
経営者が示す方向性は、概ね一定であり説明方法を変えながら、経営方針の浸透を図っています。事業目標もかなり継続性を持って示されるので、腹に落ち易いと言えます。
(3)同族会社のデメリット
①長期政権の弊害
経営者の在職期間が長期に及ぶため、企業変化が乏しくなりがちです。一方で、経営者が長期政権を維持出来る能力を有している証でもあるので、マンネリは決してマイナスばかりではありません。
②経営者の育成
限られた人材のみが経営者候補と限定されるため、幅広い人材の中から経営者の育成する機能を有しません。現実には、経営トップになれる可能性は、非同族会社でもほぼゼロに等しいので、その点ではデメリットとは言えないかもしれません。
③経営者の意向と一致しない場合
経営者の方向性と自分の目指す方向性とが異なる場合には、退職という選択肢を取らざるを得ません。一般的に経営者と肌が合わないことよりも、直属の上司との人間関係が円滑でないことの方が退職理由にはなりがちです。
(4)就職先としての同族会社
①企業の選考の際の優先順位
上場企業の半数以上が同族会社ですので、就職先として同族会社を外すことは、非現実的であると考えます。選考に際しては、本店所在地(都内か関西か地方か)、業種、希望職種への配属の可能性、過去10年程度の業績、従業員の平均年齢等がさしずめ選考要因となるでしょう。
②新卒で同族会社に勤務することについて
新卒から約5年間勤務しました。同族会社であることのデメリットを感ずることはありませんでした。社内抗争や派閥と言った煩わしさがなかったことは、業務に専念できて有難かったです。
≪松島≫
日本三景の一つの松島は、松尾芭蕉により「松島や、ああ松島や」と謳われた日本を代表する名勝です。今回は朝陽と夕陽を異なる場所で絶好の条件で収めることができました。所要時間50分の湾内観光も外せません。