葬儀の作法、菩提寺へのお布施に関する話など、親子の間で持ち上がらないかと思います。この手の話題は避けがちですが、私自身父親に確認することを怠ったため無駄な労力もかかりました。ご自身の将来の負担を少しでも軽減するため、意識的に収集されることを強くお奨めします。
①葬儀社の選び方
列席していただく方々の利便性や収容人数から斎場を選択します。斎場は地域や最寄駅からネットで選択します。ネットで検索すると葬儀専門会社と葬儀紹介会社とが紹介されますが、葬儀専門会社を選びます。業務の性格上、電話対応は24時間であることが必須条件ですので電話に出ない場合には、避けた方が良いでしょう。葬儀社へ資料を請求した場合に、翌日もしくは2日後には郵送もしくは持参します。競合が多い地域では迅速な対応が差別化の一つとなります。
②お布施の金額確認
お布施とは、仏事や法要の際に住職へお渡しする謝礼で、住職の労働に対する対価ではありません。お経を上げていただくことへの感謝を伝えるお礼です。ところで、いくらお渡しすれば良いか相場が解らないでしょう。事前に住職へ直接聞くことが最善の方法です。「他の皆さんはお布施をどのくらいされていますか?」と尋ねて下さい。父のケースでは、祖母の葬儀の際にお渡ししたお布施をご提示されました。通夜から初七日法要までで20~50万円が一般相場のようですが、お坊さんの人数や地域による差もあります。
③お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングは、通夜の法要前の控室でご挨拶する際にお渡しすることが一般的です。会場によって異なることもありますので葬儀社の担当者に助言を求めて下さい。
④心付けの用意
葬儀社への心付けは基本的に不要です。霊柩車やマイクロバスのドライバーの方々や火葬炉に収めていただく方への心付けは、3千円から5千円です。お渡しする金額は地域によって異なりますので葬儀社の方にご確認下さい。また、10~15名分を用意しておくと慌てずに済みます。
⑤親に渡す香典の相場
親に渡す香典の相場は、10万円を目安とします。連名で包む場合には同額の10万円か二人分として倍額を包みます。ただし、親族間の関わりの深さを考慮する必要もありますので、事前に兄弟間で調整して決めます。施主の補助として葬儀費用の一部負担する場合には、香典は不要となります。
⑥とにかく葬儀社に頼る
葬儀に関する冊子を渡されますが、一読して全容を把握することはできません。決定すべきことが次から次へと出てきますし、仮に兄弟で役割分担しても、検討事項があれこれ生ずるとパニックに陥ります。従って、どんな細かなことでも、判断できない事項が生じた場合には葬儀社の担当者に確認することです。ご親族のご葬儀を3回経験された方でも、ご自身で判断できない事項が生ずるそうです。限られた過去の経験だけでは遂行できないのが葬儀ですので、一人で抱えることは回避しましょう。
⑦忌中に行ってはならないこと…
喪中には神社へ行ってはならないと耳にします。親族に不幸があった場合には、神社に足を踏み入れてはいけません。神道では死を「穢れ(けがれ)」として捉え、忌み嫌うからです。穢れは「気枯れ」とも書き、「死=気が枯れた状態」であると捉え、その状態で神様の領域である神社に立ち入ることは神域に穢れを持ち込むこととされるため禁じられています。神社本庁によれば、一周忌までを「服」の期間、五十日祭までを「忌」の期間とするのが一般的であるとしており、「忌明け」すなわち五十日祭を過ぎれば神事・慶事への参加も差し支えありません。
※相続・葬儀・菩提寺等の話題は、下の世代から聞きに行かない限り親世代から切り出すことは期待できません。ご自身が困らないようきちんと親世代から聞き出して下さい。
【写真の解説】
ピサは大聖堂や洗礼堂も荘厳で見所が多いイタリア3大観光地の一つです。通路以外は芝生で覆われており、ベンチに腰掛けると涼やかな風を感ずることができます。