金融機関での相続手続(残高証明書交付・解約・資金異動)は、一般に1ケ月程度の時間を要します。この春に3件の相続手続での対応を比較してみました。窓口の対応は、業務対応水準の格差が大きく、信託銀行→地方銀行→メガバンクの順で時間増となります。
(1)前提条件
①相続手続に必要な被相続人の戸籍、相続全員の戸籍、相続人の印鑑証明書、相続人の実印、本人確認書類、通帳、キャッシュカードが全てそろっていること。
②相続届出書、残高証明発行依頼書への記入が終了していること。
③投資信託の窓口購入がないこと。
④貸金庫の解約手続がないこと
(2)窓口での所要時間(待ち時間は含みません)
①りそな銀行 40分
*相続センターで全ての処理を行うため、2回目以降の手続は全て郵送対応となります。書類確認作業だけで40分も要しますので早いとは言えません。
②スルガ銀行 35分+10分
③横浜銀行 45分
④三菱UFJ銀行 55分
⑤ゆうちょ銀行 60分+60分
⑥みずほ銀行 60分+90分
*金融機関では唯一予約制を採用しています。予約制でも2回目の手続は相当な時間を要しました。
(3)残高証明書の発行に要した時間
①当日窓口で交付される金融機関:横浜銀行、みずほ銀行、
②相続センターから郵送される金融機関:三菱UFJ銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行、楽天銀行
③後日窓口で交付される金融機関:スルガ銀行
*じぶん銀行は、手数料がかかるので取引明細書で代用してはいかがでしょうかという意味不明な提案を示しました。
(4)口座解約と解約資金の振込までの日数
①横浜銀行8〜14日(店舗より異なります)
②スルガ銀行8日
③三菱UFJ銀行20日(貸金庫の名義変更手続きも3週間を要します)
④ゆうちょ銀行20日
(5)窓口に出向く回数
①相続届出書類の受領
②相続届出書の提出
*ゆうちょ銀行は、相続届出書を窓口で受け取ることは出来ず、届出書の交付申請のために窓口に出向きます。
*みずほ銀行は、担当者の業務水準や応対にバラツキがあり、手続が円滑に進まないこともあります。
(6)残高証明書発行手数料
①1通¥756:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、
②1通¥864:横浜銀行、スルガ銀行、楽天銀行
③1通¥510:ゆうちょ銀行
(7)電話で相続に関する問い合わせがあった金融機関:じぶん銀行
(8)投資信託を窓口で購入していた場合
基本的には、普通預金や定期預金と同じ手続で、別の手続はありません。
(9)第三者に相続手続や残高証明書交付を委任する場合、委任状に自署を要する金融機関:ゆうちょ銀行、りそな銀行
(10)総合順位
①横浜銀行→②スルガ銀行→③三菱UFJ銀行→④りそな銀行→⑤みずほ銀行→⑥ゆうちょ銀行→⑦じぶん銀行→⑧楽天銀行
*三菱UFJ信託銀行・みずほ信託銀行・三井住友信託銀行は、今回の調査対象となっていませんが、過去の相続手続の事例で見る限り最上位に位置づけられます。
(11)結論
➀ネット銀行は、相続手続の取扱事例が少ないのか非常に対応が遅く、取引明細書の発行手数料も高い点がデメリットです。
②窓口は混み合いますので、9時に入ることが肝要です。
【ブーゲンビリア】
フランスの探検家ブーガンヴィルが1768年にブラジルで発見したことに由来します。実際の花は中央の小さな白い部分で、色づいた花びらに見えるものは葉(包葉)です。