箱根旧街道は、江戸時代の箱根越えの道で、小田原から芦ノ湖畔まで上り4里、三島まで下り4里の道のりを指します。急坂の多い山道は、江戸時代初期に官道として整備されましたが、泥道であったため近代的な石畳道として完成させました。今なお残る石畳には、往時の旅人の苦悩と喜びが偲ばれます。

この石畳も関東大震災(大正12年)と北伊豆地震(昭和5年)の2回の震災により崩壊しましたが、大規模な修復工事により現在の姿を保っています。これらの影響でしょうか沿道のあちこちに大きな岩が見られます。

旧街道のハイクのルートは、いくつか選択肢があります。

  1. 一番人気のあるコースは、元箱根から畑宿を目指すコースで最初の権現坂以外は全て下り坂となる行程です。畑宿から箱根湯本まではバスで15分程度です。県道732号線沿いの奥湯本から早雲寺辺りまでは日帰り温泉も多いので、途中下車してゆっくり汗を流されることをお勧めします
  2. 箱根湯本から甘酒茶屋までバスを利用し、甘酒茶屋から元箱根を向かうショートコースもあります。(約40分)
  3. 旧街道と室町時代までの峠越えのルートを一度に堪能するコースもあります。①の逆コースとなりますが、畑宿から甘酒茶屋を経由して元箱根の手前のお玉観音を右に折れ、国道一号線へ出て大芝バス停を目指します(約90分)。大芝から小田原行きのバスで2つ目の六道地蔵で下車すると元箱根の石仏群に出ます。ここから芦の湯まで約1時間の散策道が整備されています。

東海道23番目の畑宿一里塚は、唯一発掘復元されたものです。一里塚は、旅人の目印であり度量衡統一の目的として築かれました。一里塚には「榎」が植えられています。成長が早く根が深く張り、土盛りを崩さず夏は葉が茂り人々が涼を取るのに便がありました。

橿木坂(かしのきさか)は、130mの距離で高さ40mも上る最大の難所です。階段の最上段ははるか先で見えません。

山道に転がり落ちた巨石にケルンが積み上げられています。平坦になって不要となった杖もそっと置かれています。

石畳がどこまでも長く続いています。

於王坂の路標は、巨石に置かれたケルンに埋もれそうです。これらは昭和以降に積み上げられたものです。

甘酒茶屋を出るとこの路標に出会えました。

山道に横たわる巨石から天ケ石坂が始まります。路標の左肩に陽が当たっているのを上手く捕えられませんでした。

山道にやさしい春の陽が差し込みます。旧街道は街の喧騒を忘れさせてくれます。

箱根馬子唄歌碑です。「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」と刻まれています。この先の行程は権現坂を元箱根まで下るだけで、直ぐ先に芦ノ湖が目に入ります。

歌碑の奥の丘を登ると木々の間から二子山が見えます。道中の変化に富んだ風景を楽しみながら2時間のんびりハイクを楽しめます。