万一に備えて
お客様訪問した際に、なかなかお話できない話題が“相続”に関することです。まだまだ現役で頑張っている経営者の方々にこちらから切り出すことは、非常にハードルが高いものです。
ところで、いざという時にこちらからお伝えしていなかったために、余計な税金がかかったり、ご家族の手間がいたずらにかかる可能性は否定できません。
そこで、お顔を見ながらお伝えできないことも文書でお渡しすることによって、
① どのような方法で財産管理を行うか
② どのように整理すれば後々苦労しなくて済むのか
③ 不要な財産をどのように処分すればよいか
等をご理解いただけるかと思います。このコラムをご覧になって詳細を確認されたい場合にはご遠慮なくお申し付け下さい。
“預金通帳”を捨ててはいけません!
“預金通帳”はお金の流れを端的に表示した重要な書類です。時々これを捨てる方がいますが、普段は何も役に立たないものですが必ず保存して下さい。
大きなお金の異動があった場合には、使途や支払先を手書きでメモする癖もつけて下さい。
将来、相続税申告を行って税務調査が入る最大の理由は、預金取引におかしなものが過去3年以内にある場合です。税務署は近隣の金融機関に過去3年の取引明細の提出を求めます。金融機関は、調査権のある税務署からの申し出を拒否することはできません。ここでおかしな取引が発見されると、その取引が申告書にどのように反映されているかチェックし、申告もれの可能性が解ると実地調査となります。
相続税申告書作成作業では必ず最低3年分の通帳を確認させていただきますので、どうか通帳は破棄せずに保管して下さい。
もう一つのペイオフ対策
昨今ではあまり耳にしなくなりましたが、預貯金管理にはペイオフ対策が不可欠です。
ご存知のように1つの金融機関に対して保護される金額は、普通預金や定期預金等全ての預金種別を合計して10百万円までです。ご自宅の近くの郵便局(ゆうちょ銀行)も対象となります。
基本的には、預金残高が10百万円を越えないよう残高管理する方法が最善です。ご自宅から遠い金融機関は1年定期(自動更新型)とすれば、通帳記帳のも年1回で問題ありません。
しかしながら、5行以上の金融機関に預入することは管理上煩雑となりますので、普通預金(無利息型)を利用すれば10百万円を越えても全額保護対象となります。電車やバス等の交通費の方が普通預金利息より大きい場合にはこの商品が最適です。
睡眠預金の整理
日常的に利用される預金口座は、2~3程度でしょう。住宅ローン、勤務地に近いこと、お付き合い等によって口座が増えることはしばしばありますが、使用停止してから解約せずに放置されているケースが散見されます。通帳を紛失して存在すら忘れられた口座もあるかもしれません。
金融機関は、10年を越えて資金異動のない預金口座を睡眠預金もしくは『睡眠口座』と呼びます。基本的に、通帳と届出印があれば引出は可能です。このように放置された口座は極力整理しましょう。
届出印の統一
銀行や証券会社の届出印がばらばらであるケースも散見されます。これも管理を煩雑化させる要因の一つです。通帳に届出印の表示を廃止して以降、届出印が不明となるケースも頻発しております。
財産管理のポイント
一度に整理しようとすると息切れします。まず、毎日の書類整理をきちっと行うことから始めます。貸金庫に保管する書類と家で保管する書類の区分も明確にしましょう。