(1)RPA(Robotic Process Automation)とは? 

ロボティック・プロセス・オートメーションとは、認知技術(ルールエンジン・機械学習・人工知能等)を活用して、システム化が見送られてきた手作業の業務プロセスの生産性を向上させる手法を指します。具体的な適用業務として、帳簿入力・伝票作成・ダイレクトメールの発送業務・経費チェック・顧客データの管理・ERPやSFA(営業支援システム)へのデータ入力・定期的な情報収集など、主に事務職が携わる定型業務が挙げられます。

(2)ルールエンジンとは?

外部環境が絶えず変化する中で、複雑で多種多様な業務知識の見直しに迅速かつ柔軟に対応できるソフトウエアです。要件定義や基本設計における定義をGUI(Graphic User Interface)を活用することでそのままビジネスルールとして登録することができ、ビジネスルールの詳細設計やプログラミングがほとんど不要です。この結果、システム開発の工程・開発期間の短縮による開発コストが削減できます。また、ユーザー自らが設計するので、業務フローの変更にも迅速かつ柔軟に対応できます。

(3)ルールエンジンの効用 

ルールエンジンの利用は、ビジネスルールの蓄積を促進します。これにより属人化したルールの散逸を防ぎ業務ルールの組織資産化を実現します。ルールの資産化は確かなルールを継承することができ、事業の継続や発展に繋がります。

(4)人の意思決定のシステム化 

ルールエンジンは人の意思決定をシステム化する技術をベースに開発されたソフトウエアです。これによって膨大なデータの組み合わせから顧客にとって最適な商品を選び出し、人間の処理能力が追い付かないような意思決定をコンピューターによって自動処理できます。

(5)ルールエンジンによる業務効率化の具体例

経理業務での次のような業務処理の対応が可能となります。

  1. 取引銀行のHPへアクセスして、自社の預金取引明細の前月1ケ月分を出力するよう指示する。
  2. 預金取引明細をCSVデータとしてダウンロードして一時保管する。
  3. 経理システムへアクセスしてCSVデータをインポートする。
  4. CSVデータの預金残高と経理システムの預金残高とを照合し、一致しなかった場合にはエラーメッセージにて警告する。
  5. 取引銀行のHPを閉じる。
  6. インポートされた取引データの支払先名から勘定科目と消費税区分を決定して仕訳データを作成する。
  7. 勘定科目と消費税区分を確定できない取引は、区分不能としてエラーメッセージにて警告する。
  8. 借方残高と貸方残高が一致していることを確認し、経理システムを終了させる

(6) 何故RPAが重要視されるのか?

  1. ピーク時の単純作業・反復作業をRPAで代替することで業務量の平準化を図ることができる。
  2. 機械的に処理を行うためミスを撲滅し、作業の品質を向上させる。
  3. 決められた手順以外の処理は行わないため、不正処理を防止しガバナンスを強化する。
  4. 単純作業をRPAに任せることで、社員はより生産性の高い業務に注力し、働き方改革を推進することができる

(7)中小企業でRPAが普及するのか?

RPAは既に多数のソフトウエアベンダーが中小企業向けに供給しており、利用料金も年々安くなっています。身近なところでは、会計ソフトの“FREEE”がRPAを実装して、業務の守備範囲を広げていることが挙げられます。もはや、RPAは企業規模にかかわらず業務効率化の重要なツールとなっており、業務処理の生産性向上のキーとなります。

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