桜の咲く頃に春の膳をいただく予定でしたが、コロナ禍により6月中旬まで延期となっていました。お店も一日一組限定からようやく通常営業に切り替わりました。毎年の5月の楽しみであった粽(ちまき)の季節は逃しましたが、今回は鱧を初めとする初夏の美味しいものを堪能します。

屋号:阿寓

住所:鎌倉市二階堂93-25

電話番号:0467-25-3299

営業時間:11時半~15時 17時~22時

定休日:水曜日

【雨の鎌倉】 雨に煙る鎌倉は、いつになく静かです。お料理を待つこのひと時も贅沢な時間です。この日の訪れることを3ケ月待ちました

【季節の八寸】 左上から時計回りで、いくらと湯葉、厚焼き玉子・松風焼き・鱧板かまぼこ、稚鮎と鱧の南蛮漬け、さつまいもの甘露煮と枝豆、車海老のうま煮と蒸し鮑、ピーマンの海老真薯詰め。今日だけは迷い箸もお咎めなし。

【お椀】 瀬戸内海の鱧とじゅんさいのお椀。四季折々の素材の美味しさを小宇宙に再現。私にとってはお椀が主役です。とにかくどの季節でも美味しい。

【お造り】 左奥から、まごち(小坪)、ほたて貝(北海道)、あおりいか(小坪)、鎌倉えび(小坪)鯵(小坪)。手前は雲丹(北海道)とお祝い膳としてご用意いただいた赤飯(赤米)。

【先鋒】高知の酔鯨。きりっとした味わいと後味の美味さ。料理をきちっと盛り立てます。こちらの大将も大酒飲みです。

【焼き物】 牛ももステーキ。特製のタレは日本酒と砂糖と醤油と構成は平凡ですが、秘伝の配合により極上の和食と相成ります。

【揚物】 北東北産の油目の唐揚げ(胡麻酢)。アイナメを青森・大阪・香川・徳島では「油目」と呼びます。アイナメは胡麻との相性が良く、唐揚げのみならずお造りでも胡麻と合わせるそうです。

【煮物】 夏野菜の冷たい炊き合わせ。海老の頭で煮た茄子、予めサッと揚げた上で煮ている椎茸、お浸しの法蓮草、彩鮮やかなパプリカ。

【ご飯】 地元小坪の新鮮なタコ一匹を薄く切り、オリーブオイルで炒めます。生姜を炊き込んだ御飯を蒸す際に、タコを和えます。心地良い歯応えと香り高い蛸飯。「阿寓」の名物料理の一つです。

【水菓子と甘未】 西瓜のゼリー寄せ(サバイヨンソース)。卵の黄身と生クリームによるソースにより濃厚なデザートとなりました。わらび餅も自家製です。上質のわらび粉を選ぶところから仕事は始まります。初夏の定番です。