今回の「感・即・動」は、数あるマーケティング分析の手法のひとつ、「SWOT分析」を分かり易くご紹介していきます。最近、販売業績拡大のために営業スキル研修の中にこのSWOT分析 を組込み、営業を科学的に捉えて実践していただいています。
SWOT分析とは
企業が経営戦略や経営計画を策定するためには、自社の内部環境(経営資源)と外部環境(経営を 取り巻く環境)の分析が不可欠ですが、SWOT分析はその両者を統合的に行う手法です。強み (Strength)と弱み(Weakness)は内部環境分析、機会(Opportunity)と脅威(Threat)は外部環境分 析になります。今回は、このSWOT分析を販売戦略を立てる際のツールとして解説していきましょう。
S:Strength(強み)/ W:Weakness(弱み)
自社の販売における「Strength(強み)」は何か?また、「Weakness(弱み)」は?ここでいう“強 み/弱み”とは競合他社と比べて勝っている点、劣っている点を言います。この「Strength(強み)」と 「Weakness(弱み)」は何れも自社内の内部環境の分析で、自社でコントロールが可能な要素で項目 としては、以下のような項目が挙げられます。
ここで留意しなければならない点は、“強み”は競合他社と比較した相対的なものであり、当然、ラ イバル会社の商品開発力や技術力が自社よりも勝ればその時点で強みでなくなります。
O:Opportunity(機会)/ Threat(脅威)
次に「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」を見ていきます。この2つは外部環境の領域の 分析となり、先ほどの「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)」の場合とは違い、自社ではコン トロールが不可能な要素です。経済状況やマーケット環境などの領域も本来は含まれますが、ここ では販売に焦点を当てこの2つについて捉えて見てみましょう。
SWOT分析を活用して戦略を立てるにあたり
では、このSWOT分析を活用して戦略を立てていく進め方を紹介 します。まず始めに話し合いをするにあたり、どのような準備が必 要かをお伝えします。
準備:人数5人~10人くらいが望ましく、コの字型や扇型のレイ アウトにする。ホワイトボードか模造紙、ポストイットとサインペ ンを用意する。そして、参加者には予め顧客情報や競合他社に関す る情報を準備して参加する。
SWOT分析を活用して戦略を具体的に立てる
強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)のマトリクスを描き、1項目ずつ順番に意見をポストイットに書き
出して模造紙、もしくはホワイトボードに貼出していきます。ここで話し合いを行なう項目にも順番があります。
ステップ1:情報収集【1】「Opportunity(機会)」
Opportunity(機会)を書き出すが、ここでは販売戦略という観点で 出していく。事前に準備した顧客情報を元にお客様のニーズや志向 (嗜好)、要望は何か、あるいは、お客様の不安や不満が何かを考 えてポストイットに書いて貼出す。
ステップ2:情報収集【2】「Threat(脅威)」を書き出す
次にThreat(脅威)を書き出す。ここも事前準備した競合他社の情報 から探っていく。競合他社商品の特徴やメリットは何か、価格は? どんなサービスを提供して販売戦略を展開しているのか?などを書 き出す。ここでは各個人が持っているライバル会社の情報を出来る 限り出し合って情報を収集し整理をする。
ステップ3:情報の洗い出しと把握、そして、課題化「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)」を書き出す
今度は内部環境に目を向ける。自社のStrength(強み)、特に販売の場での強みを書き出す。商品の魅力(売り)は何か、営業の知識
やスキル、経験は?また、営業チームとして情報収集力や情報発信力など様々な持てる現場力を書き出す。 次に自社のWeakness(弱み)を書き出す。ただし、ここで気をつけなければならない点はネガティブ(後ろ向き)な意見が出ないよ うな工夫が必要である。実際の場面では、“弱み”という言葉でなく、“改善点”という言葉を使うことで前向きな話し合いが展開でき る。このように自社(自組織)を俯瞰することで情報を洗い出し、現状を把握する。そこから取り組むべき課題を明確にする。
ステップ4:2つの項目を組み合わせてアイデアを出す
ステップ5:戦略を立てる
最後に、4つの進め方の良し悪しを議論して、優先順位をつけたり統合したりしながら、1つの戦略にまとめていく。 今回は、マーケティングの手法の中でも最も代表的なSWOT分析をご紹介しました。私の運営しています研修のプログラムの中でも、このような
マーケティングの視点で参加者全員が主体的に意見を出し、現場力を集結して実践的な戦略を立てて現場で実践して頂いています。
文責 株式会社HRラーニング・サーチ 仲本親司