「セグメント」は、マーケティング・会計・コンピューターサイエンス・通信で使われる単語ですが、それぞれ異なる意味を持っています。この4つの分野は、ビジネスで重なる場面がありますので、きちんと使い分けできるよう備えましょう。

〔1〕マーケットセグメント

①マーケットセグメントとは

市場や顧客の分析を行う際に、ある特定のことに関するものや人の“趣向”、“地理的条件”、“フィールド”、“人口変異状況”等、なんらかの基準で区分することをセグメンテーションと言います。その分けられた顧客グループが「セグメント」です。顧客の属性により市場を細分化し、それぞれの特性にあったマーケティングを行うことを指します。「セグメント」は、ターゲットとは同義語ではありません。ターゲットとは、商品やサービスを提供する「セグメント」のうち、特に狙いを絞った層を指します。つまりターゲットは、「セグメント」の一部を意味します。

②「セグメント」の4つのR

「セグメント」を次の4つのRに分けて考えることで、セグメント分析することができます。

“Rank”(優先順位づけ):顧客層を重要度に応じてランクづけしているか?

“Realistic”(有効規模):その「セグメント」で十分な売上高と利益を確保できるか?

“Reach”(到達可能性):「セグメント化」された市場の顧客に製品を的確に届けられるか?

“Response”(想定可能性):当該「セグメント」の顧客層からの反応を分析することは可能か?

*どの業種でも適用可能ですので、是非ご検討下さい。

〔2〕セグメント情報

①セグメント情報とは、

セグメント情報とは、会社の売上、利益または損失、資産その他の財務情報を事業単位、所在地単位、得意先特性単位に分解した財務情報です。上場企業は連結情報を有価証券報告書でこれを開示し、中小企業では経営判断のため管理会計資料として事業単位、得意先特性単位で作成します。

②「事業管理セグメント」と「財務報告用セグメント」の二重構造の解除

「事業管理セグメント」とは、業績情報を管理集計する単位として企業内部で利用される業績評価単位を指します。一方、「財務報告用セグメント」とは、有価証券報告書や投資家向け開示資料において使用される業績評価の単位です。これらは、製作する部署がそれぞれの集計プロセスのもとで処理し、作成時期も異なっていました。この不整合を回避するため、国際会計基準(IFRS)では2014年に「事業管理セグメント」への一本化を実施しました。この結果、財務諸表の利用者が経営者と同じ支店から事業活動を検討し、将来の利益の予想精度が高められることが期待されます。

③中小企業におけるセグメント情報の有効活用

従業員が10名以下の小企業であっても、得意先が多岐に渡る場合には、「マーケットセグメント化」により得意先をグループに分けて売上や利益(損失)を集計することにより、事業採算性、取引の継続性、得意先の絞り込み、注力すべき得意先の見定めが可能となります。これから注力したい業務の一つです。

〔3〕コンピュータサイエンスにおける「セグメント」

  • ネットワークを構成する個々のネットワーク環境やコンピュータのメモリで一度にアクセスできる領域のことを指します。「セグメント」は単なる部分・部品というより全体を分割したうちの一つという意味合いが強調され、分割の仕方が自然であるか、何らかの必然性があることが示唆されます。

〔4〕通信における「セグメント」

  • 地上デジタル放送の技術規格では1つのチャンネルを13の「セグメント」に分割し、このうちいくつかを束ねて1つの放送データの流れを伝送しています。このうち1つのセグメントは携帯機器向けの低画質の放送向けで、これを利用した放送を1セグメント放送(略してワンセグ)と呼びます。

*カタカナ用語は一つ一つ確実に覚えていく一方で、ぞくぞくと新しい単語が出現していきます。

【鵜飼山遠妙寺(おんみょうじ) 山梨県笛吹市石和町】

早朝の温泉街に凛とたたずむ仁王門を擁する遠妙寺を拝観します。子守から解放されて気の向くままにレンズを向ける至福のひと時です。