事業所への義務付け

1 はじめに

厚生労働大臣は、平成26年1月23日労働政策審議会に諮問した『労働安全衛生法の一部を改正する法律案要綱』について、同審議会安全衛生分科会で審議が行われた結果、概ね妥当と認める答申が行われました。厚労省は、この内容で法律案を作成し、国会提出を準備しています。改正案の詳細については発表されていませんが、前回廃案となった改正案の概要とほぼ同様となると考えられておりますので、ご参考までに前回の改正案をご紹介します。

2 予定されていた改正案の概要

メンタルヘルス対策の充実・強化は次の6点です。

○医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務付ける。
○労働者は、事業者が行う当該検査を受けなければならないこととする。
○検査の結果は、検査を行った医師又は保健師から労働者に対して通知されるようにする。医師又は保健師は、労働者の同意を得ないで検査の結果を事業者に提出してはならないこととする。
○検査の結果を通知された労働者が面接指導の申出をしたときは、医師による面接指導を実施することを事業者に義務付ける。
○面接指導の申出をしたことを理由として不利益な取り扱いをしてはならないとする。
○事業者は、医師から面接指導の結果報告を聴き、必要に応じて配置転換、労働時間の短縮その他適切な就業上の措置を講じなければならない。

3 企業としての善後策

この新型うつに対し、対応が難しいと職場は混乱しています。問題は新型うつは他責的であるということです。会社でハラスメントにあって、自分はうつ病になったから労災申請して欲しい、職場を配置換えして欲しいと言われた場合にどのようにすればいいのでしょう。会社として応じることができないことにはNOという必要があります。20代、30代に多い新型うつに限らず、若者のうつの支援には、自分のキャリアを会社の中でどうしていきたいか、会社の中でどう成長していきたいかに関わらないと、本質的な解決にはなりません。会社としては、誰でもが持つ成長欲求を会社のベクトルに合わせて人材育成していくことが求められています。

文責:Grow社会保険労務士事務所  代表 磯部 和代


ドクターに聞く

身近の内科開業医ドクターにうつに関する情報を聞くことも一つの整理方法です。専門外でも一通りのことはご存知ですよ。勿論、その結果結論が出るものではありませんが、安心材料になるからです。